神宮球場や秩父宮ラグビー場を抱え、4列のイチョウ並木をはじめとした多くの樹木に囲まれる明治神宮外苑地区(東京都)の再開発は、多数の樹木伐採などについて音楽家の故・坂本龍一さんらが反対の声をあげたことで批判が大きく広がった。活動に支障がでる可能性があるにもかかわらず、著名人が声を上げる理由とその影響について、社会運動に詳しい成蹊大・伊藤昌亮教授に話を聞いた。
――近年になって政治や社会問題に文化人やアーティストが声を上げるのが目立つようになったと感じています
2010年代になり色々な問題がでてきました。11年の東日本大震災による福島第一原発の事故に伴い反原発運動が盛んになりました。原発事故が日本で本当に起きてしまって、1986年のチェルノブイリの原発事故以来の危機感が高まったというのが大きいと思います。
そもそも60年代はアーティストや文化人、学者に限らず皆が政治的発言をしていました。音楽でいえばフォークゲリラ、反戦ソングなど。しかし、全共闘運動に伴う内ゲバや社会的な騒動が問題視され、政治的な姿勢を前に出すのは回避されるようになっていきました。音楽業界では70年代は個人と日常の歌が中心となり、80年代になると音楽はより商業的なものになっていきました。
ところが、86年のチェルノ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル