大阪府堺市中区で昨年12月、夜間パトロール中の男性4人を車ではねて死傷させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた猪木康之被告(49)に対し、大阪地裁堺支部は29日、懲役10年(求刑懲役12年)の判決を言い渡した。荒木未佳裁判長は「4時間にわたる飲酒後の運転の危険性は相当高く、2人を死亡させた結果は重大だ」と述べた。
判決によると、猪木被告は昨年12月27日午後11時50分ごろ、アルコールの影響で正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で乗用車を運転。時速約64キロで4人をはね、山中正規さん(当時46)、村上伸治さん(当時47)を死亡させ、別の男性2人に軽傷を負わせた。
弁護側は「アルコールの影響により正常な運転に支障が生じる恐れがある状態ではなかった」などとして罪が軽い過失運転致死傷にあたると主張した。だが判決は、被告の飲酒量や、明るい色調の服装を身につけてパトロール中だった山中さんらに、衝突まで気づいていない点などを重視して主張を退けた。
閉廷後、山中さんの妻が報道陣の取材に応じ、「危険運転致死傷罪が認められたのはほっとしたが、懲役10年は短すぎる。主人は出会わなくていい人に出会ってしまった。無念だったと思う」などと述べた。(前田智)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル