安倍晋三首相は27日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、3月2日から春休みが明けるまで、全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校とするよう要請すると明らかにした。感染症を理由とする全国規模での休校は、これまで例がない。寝耳に水ともいえる首相の要請に、各自治体や教育現場、保護者だけでなく、管轄する文部科学省からも対応への苦慮や動揺が受け取れた。
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新型コロナの感染拡大が、ついに全国の学校を“閉鎖”に追い込んだ。会合で安倍氏は「子供たちの健康安全を第一に考え、多くの子供たちや教員が日常的に長時間、集まることによる感染リスクにあらかじめ備える」ことを理由に、全国の小中高校と特別支援学校に臨時休校を要請すると説明。期間は「3月2日から春休みが明けるまで」とした。
異例の判断は「対応が後手後手」(野党幹部)との政府批判を払拭したいとの首相の強い意向も透ける。会合で安倍氏は、感染拡大を抑制し、国民生活や経済に及ぼす影響を最小とするために必要となる法案を早急に準備することも各閣僚に指示。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を含めた対応が念頭にあるとみられる。
過去には、新型インフルエンザが関西を中心に流行した2009年5月に、厚生労働省が大阪府と兵庫県の全中学、高校に休校を要請した例がある。この時には、両府県合わせて4000校以上が休校となったが、今回はその比ではない。文科省初等中等教育企画課の担当者は「過去に同様の状況があったかどうか、すぐにはお答えしかねます」としたうえで、「私が知る範囲ではありません。頭に浮かびません」と述べた。
想定をはるかに上回る決定は、混乱も招いている。政府発表の約2時間前に3月13日までの市立幼稚園と小中学校全ての休校を決めた大阪市の松井一郎市長は、安倍首相の要請に関し「(休校期間は)まず2週間だ。終息するなら再開し、増える状況であれば、その時判断する」と話した。
また、東京都の小池百合子知事は「大きな目的のための措置ということで、取り組みたい」としながらも「もっと早く(要請を)出してもよかった」と付け加えることを忘れなかった。千葉市の熊谷俊人市長は「医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねない」と懸念を表明した。
1か月以上にわたり子供が在宅する状況となることから「行政機関や民間企業は、休みが取りやすくなる環境を整えていただくとともに、子供を持つ保護者への配慮をお願いする」と安倍氏。休暇を取得しやすい職場環境の整備や在宅勤務を呼び掛けたが、要望通りに実現できるかは不透明だ。
なお、この日2人目の死者が出た北海道では、全国に先駆けて小中学校計1349校が一斉休校に入った。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース