新型コロナウイルスの感染状況を見極める政府の専門家会議は9日夜、厚労省で会見し、政府が要請している大規模イベントの自粛を継続するかどうか、判断のタイミングは、今月19日との見通しを示した。先月24日に「1~2週間が瀬戸際」としてから、この日で2週間。日本の現状を「一定程度持ちこたえているが、感染者数は当面増加傾向が予想され、警戒を緩めるわけにいかない」と訴えた。政府は10日、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を閣議決定する。
安倍晋三首相が連発した「政治判断」のベースになった、政府の専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)による「この1~2週間が瀬戸際、正念場」という認識。先月24日の表明からついに2週間。注目の新見解が示された。
9日夜の会見で、同会議は、日本の現状を「本日時点では爆発的な感染状況に進んでおらず、一定程度もちこたえている」と指摘した。「感染拡大のスピードを抑えられる可能性がある」としながらも、感染者数は増加傾向で集団感染(クラスター)が相次いでいる現状を踏まえ「警戒を緩めることはできない」と訴えた。
専門家会議の見解を受けて、全国でイベントなどの自粛や中止、学校の一斉休校が続く。同会議は、北海道で出された「緊急事態宣言」の効果も含めて、全国的な感染状況の分析が得られる今月19日に、イベント自粛などの継続の是非を見極める方針を示した。そのため19日までは、自粛などの感染防止対策を続けるよう、国民に理解を求めた。
首相は9日の参院予算委員会で、自粛継続の是非について「近く専門家から新たな見解が示される。そうしたものを踏まえて判断したい」と述べた。専門家会議の見解を受けて、19日にも判断する可能性がある。
一方で専門家会議は、新型コロナウイルスはインフルエンザのように暖かくなると消えるウイルスではないと指摘。対応が「数カ月から半年、年を越えて続くかもしれない」と、長期化する恐れにも言及した。
政府は10日、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を閣議決定し、同日中に国会に提出する。13日に成立の見通し。施行されれば、首相は憲法が保障する私権を制限できる「緊急事態宣言」の発令が可能になる。また安倍政権の公文書の扱いが問題になる中、政府は、行政文書の管理に関するガイドラインに基づいて、新型コロナウイルス感染に関する記録を、公文書管理を徹底する「歴史的緊急事態」に指定する方針だ。【中山知子】
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