不良グループはブラック企業。虐待やホームレスも
インタビューは2019年12月~2020年5月に行われ、このほど報告書としてまとまった。 筆者がインタビュアーを務め、話を聞いた元院生は20歳~41歳までの10人。このうち9人が男性、1人が女性だ。未成年のうちに少年院に複数回入った人はいるが、全員が成人後は再犯せず、社会生活を続けている。 彼らが罪を犯した経緯はさまざまだが、目立ったのが不良仲間とつるむようになり、次第に薬物売買やオレオレ詐欺などに手を染める「ヤンチャ系」だ。薬物の売人(プッシャー)などをして18歳で逮捕されたマサヤさん(仮名・28)は不良グループを、上下関係の厳しい「ブラック企業」状態だったと振り返った。 「先輩に早朝、携帯電話で呼び出され、運転手をやらされるなど、自分の時間は一切なかった。捕まった時は変な話だが、これでグループから距離を置けると嬉しかった」 彼は、留置場で久しぶりに熟睡したとも話した。 親から虐待を受けるなどして、家が安心できる場所ではなかった人も。母子家庭で母親が働きづめだったという人や、児童養護施設の出身者もいた。 ナオトさん(仮名・24)は、3歳で両親が離婚。父親の再婚相手である義母の虐待を受け、児童養護施設や自宅を行ったり来たりした。高校中退後、行き場を失い、眠るためにパチンコ店やゲームセンター、ネットカフェを転々とした。「夏場、銭湯代がかさんで困った」と言う。 彼はネットカフェや銭湯の費用を稼ぐため、同じ書店で約20回、一度に70~80冊もの万引きを繰り返した。古本屋で売って金に換える。店員が見張っているのに気付いたが、店を変えなければとも思わず「逮捕されてもされなくても、どうでもよかった」という。彼にとって「外」は、執着すら持てないほど厳しい世界だったのだ。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース