発覚以来5カ月にわたって神戸市の教育界を揺るがし続けた市立東須磨小学校の教員間暴力・暴言問題。市教育委員会は2月28日、加害側教諭や管理職の懲戒処分を決めた。だが、処分プロセスそのものの問題点や、再発防止への取り組みなど、将来への課題は残っている。「東須磨」が投げかけたものを探った。
神戸市教委が28日に懲戒免職とした34歳の加害教諭2人は、ハラスメント回数の多さ(89件と34件)と悪質性が処分要素となった。
だが、それ以外の関係者への処分の重さについて、外部有識者でつくる分限懲戒審査会の意見と市教委の判断は一部食い違った。
処分決定の2日前、26日に開かれた審査会は、13件に関与した女性教諭について「停職1カ月」を相当としたが、市教委の処分は「停職3カ月」だった。自らもハラスメント2件を認定された前校長や、市教委への具体的報告をしていなかった現校長らについても、市教委は審査会の意見より重い処分を選択した。
市教委が審査会の意見に従わないのは初めてではない。昨年10月末、改正市条例に基づき市教委が加害4教諭への給与を止める分限休職に踏み切った際も、審査会は処分要件を満たしていない可能性を指摘し、「不相当」の意見だった。
市教委が気にしたのは、一連の問題に対する世間の怒りや、学校・市教委に殺到する苦情の多さだ。今回も、市教委は「社会的影響を勘案した」とし、「被害教諭や児童、保護者、市民の信頼を大きく裏切ったことを重くみた」という。一方、客観的かつ冷静な意見を示すべき第三者機関としての審査会の位置付けはますますあいまいになった。
処分までのスピードも速かった。外部調査委による報告書の公表は2月21日で、市教委が処分を決めたのは1週間後。加害教諭らは報告書公表から審査会までの5日の間に弁明書を出すよう促されたという。
当初は昨年中と目されていた報…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル