憂いのある女性を描き、一世を風靡(ふうび)した竹久夢二(1884~1934)。没後はしばらく世間から忘れられたが、再び脚光を浴びるきっかけを作ったのが東京都千代田区にある小さな出版社だった。夢二ブームの原点に焦点を当てた企画展が、同区立日比谷図書文化館で開かれている。
夢二は大正ロマンを象徴する画家で、美人画で知られるが、書籍や雑誌、楽譜のデザインなど幅広く創作活動を繰り広げた。夢二の名を冠する美術館は国内にいくつもあり、展覧会も数多く開催されるなど、根強い人気を誇っている。
だが、「日本が戦争に突入していく中で、夢二は忘れられていった」と同区の学芸員の山田将之さん。そんな中、区内の出版社「龍星閣(りゅうせいかく)」を興した故・沢田伊四郎氏は昭和40、50年代に夢二の作品を精力的に収集。作品集をまとめて世に送り出し、いまにつながる夢二ブームを生み出した。
企画展は「龍星閣旧蔵竹久夢…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル