もしかすると、私立豊川高校(愛知県豊川市)2年の渡辺剛生(ごうき)さん(16)は「日本一強い写真部員」かもしれない。中学時代、格闘技「日本拳法」の全国大会準優勝の実績がある。格闘技の世界でわずかに届かなかった日本一の夢。心機一転、高校で始めた写真で、全国コンテストの1位に輝いた。
消防車の前で敬礼する笑顔の男性。渡辺さんが撮った1枚が「アイデム写真コンテスト はたらくすがた」で高校生部門のグランプリに選ばれた。「作り笑いじゃない笑顔が撮れました」と渡辺さんは話す。
父親と2人の兄の影響で5歳の時に日本拳法を始めた。右拳を前に構えるサウスポースタイルから、スピードを生かして相手の隙をみて突きを決めるのが得意な戦い方だった。
中学2年の全国大会で準優勝したものの、170センチに満たない身長で体重50キロ台という体格は、無差別級の日本拳法では不利になる。強豪校への進学も考えたが、結局は日本拳法部がない豊川高校へ進学した。 取り組む対象が何であれ、日本一になることを目標にしていた渡辺さんは、周囲の勧めもあって全国的な実績を残している写真部に入った。
入部するまで「全く興味がなかった」という写真の世界。それでも格闘技で培った瞬発力で、入部早々、写真部顧問の水野勝之教諭を驚かせることになる。「撮影会で気がついたら姿が見えない。思いもしない場所で被写体に近づいて撮っている。もぐり込んで撮る動きと、発想力は初心者らしくなかった」と振り返る。2年生になり、豊川高校が22年ぶりに出場した今夏の全国高校写真選手権大会(写真甲子園)で、3人のメンバーに入った。
写真甲子園では、ブロック大会…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル