任期満了に伴う和歌山県白浜町長選が21日、告示された。いずれも無所属で、新人の元参院議員、大江康弘氏(66)▽3選を目指す現職の井澗誠氏(65)=自民、公明推薦▽新人の元衆院議員、玉置公良氏(65)-が立候補し、三つどもえの選挙戦がスタートした。町主要産業の観光業が打撃を受けている新型コロナウイルスへの対応が最大の争点で、各候補はコロナ対策などを訴えた。26日に投開票される。
大江氏は、立候補の届け出受け付けが行われた白浜会館前で出発式。町資産を担保に金融機関から借り入れた資金を使い、観光産業などに無利子無担保で融資する政策を掲げている。
井澗氏は選挙事務所前で第一声。50%引きの宿泊プランや30%上乗せの商品券など約1億4千万円の経済対策を予算化したほか、町の貯金にあたる基金を対策にあてる意向を示す。
玉置氏は選挙事務所前で出陣式。町内の業者の実態把握のほか、職を失った町民らを町が半年程度、臨時職員として緊急雇用する政策を主張。住民税減免を行う姿勢も見せている。
20日現在の選挙人名簿登録者数は1万8410人。
■「やりにくい」間隔保つ支持者、握手控えも
白浜町長選では、選挙運動のあり方にも全国で感染が拡大する新型コロナウイルスが影響を与えている。運動初日の告示日は、候補者がマスクを着用したまま第一声をあげたり、集まった支持者が一定の間隔を保って演説を聞いたりするなど、通常の選挙では目にしにくい光景が繰り広げられた。
ある陣営では、集まった支持者にアナウンスで「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を取ってください」と呼びかけ、人影がまばらな中で候補者が第一声をあげた。演説後、候補者は手袋をつけて支持者のもとに駆け付けたが、握手する人は少なく、おじぎをするなどして支持を訴えた。支持者の一人である男性(65)は「本当は握手したいが、この時期なので控えた」と打ち明けた。
告示が近づくに伴い、全国で感染が拡大したため、各候補とも集会などで政策をアピールしきれていない。告示後も個人演説会を予定している陣営はなく、選挙カーによる訴えや街頭での短いスポット演説が運動の中心になる。
候補者の一人は「新型コロナウイルスのために、選挙どころではないという雰囲気。政策論争もできず、手応えを感じにくい」と話す。また別の候補者の陣営幹部も、思い通りに集会ができない現状に「じっくり(政策を)聞いてもらう機会がなく、やりにくい選挙だ」と語った。(張英壽)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース