村野英一
宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の小田原家庭教会が、バザーの収益金10万円を神奈川県小田原市へ寄付し、守屋輝彦市長が市公式サイトのコラムで寄付を紹介し、「心から感謝申し上げます」と記載していたことが分かった。旧統一教会の霊感商法問題で被害者の救済に取り組む弁護士は「新たな被害につながりかねない」と小田原市を批判した。
市によると、家庭教会は自民党系市議を通じて寄付を申し入れ、市長が5月2日に市長室で受け取った。家庭教会は住民の不用品を売ったバザーの収益だと説明し、子育て施策に使うよう要望。市は障害者施設の備品の購入に充てた。
市長「受領する寄付として適切なものと判断」
市長はコラムで、バザーに約120人が品を提供し約100人が来場したと紹介。取材に対し「(寄付者が)宗教法人の認証団体であることや寄付金の財源、希望する使途もふまえ、受領する寄付として適切なものと判断した。市長の活動を紹介するエピソードとして市長コラムへ掲載した」などと文書で答えた。
樋口肇・市秘書担当管理監は「旧統一教会はクリーンな団体とは言えず、(コラムを)消すことも考えた。一方、教会がバザーで集めたお金を子育て支援に寄付する気持ちを考え、コラムをなくすことはご厚意に背く」と市サイトで掲載を続ける方針を示した。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広代表世話人は「旧統一教会はバザーに来た人たちに声をかけることを、信者や献金を集めるきっかけにしている。自治体の長は市民が被害にあわないように排除する責任がある」と小田原市の対応を批判。小田原家庭教会の総務担当者は取材に「地域のために何かをしたい皆さんの気持ちを小田原市に受け止めていただいた」と話した。(村野英一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル