東海テレビ
愛知県瀬戸市の高校生棋士・藤井聡太七段と、師匠の杉本昌隆八段が20日、対局しました。22日、改めて、杉本八段に師弟対決を振り返ってもらったところ、その言葉から天才棋士・藤井七段の「師匠と弟子」について、意外な姿が見えてきました。 今、日本で一番有名な師匠、杉本昌隆八段(51)。20日の対局を改めて目を細めて振り返ってくれました。 杉本八段:
「もう十分恩返しはしてもらっていて、(20日の対局の)恩返しは余計かなと。それはいらなかったなと思いましたよね」 世間の注目を集めた20日の「師弟対決」。スーツ姿の藤井聡太七段、対する師匠の杉本昌隆八段は和服姿で登場し、八大タイトルの1つ「竜王」への挑戦者を決める、トーナメントへの出場権をかけて争いました。 藤井七段が杉本師匠のもとに弟子入りしたのは、小学4年の時。たぐいまれな才能を持つ愛弟子は、中学2年でプロになり、その後の活躍ぶりは周知のとおり。 杉本八段(去年8月):
「最近、私が言われるのが、よく『藤本さん』と言われるんですね。藤井七段は、将棋界の記録を次々塗り替えていまして、師匠の私の名前まで、塗り替えようとしていまして…」 温和な人柄の杉本師匠。弟子を信頼し見守る姿勢は将棋界を超えた共感を呼び、「日本一有名」な師匠と弟子になりました。 杉本八段(去年11月):
「最近私も、よく(将棋)イベントに呼んでいただく機会が増えました。でも、将棋を指して下さいと言われたことはほとんどなくて、お話を聞きたいと。私のここまでの人生、八段になるまで何があったとかね」 公式戦初めての師弟対決は、およそ2年3か月前。この時も藤井七段が「恩返し」。 杉本八段(2018年3月):
「弟子の恩返しというのは、師匠のライバルであったり、師匠が勝てなかった相手を負かしてくれることが恩返し。あえて私に勝つ必要はないんですよね」 時には師匠を抜き去る弟子の活躍。杉本八段は、イベントでも弟子の急成長を話し、会場に笑いを起こします。 しかし、「その才能を見ると、張り合いたくなるのは棋士の性なので。弟子であっても真っ向からぶつかりたいという気持ちがあるんですね」とも話します。 2020年の正月、杉本一門恒例の新年会には、藤井七段も参加。弟子たちが楽しみにしているのが、師匠からのお年玉です。 杉本八段:
「要らないと思うけど、高校生なので藤井君も」 いつまでも、師匠と弟子です。 杉本八段:
「年齢的には親子ですし、社会で見ると上司と部下のような存在。将棋盤の前ではライバルですし、同士ですね」 20日の師弟対局では、藤井七段が序盤からわずかにリード。対する杉本師匠も、粘り強く差し回し決め手を与えません。 緊迫したなか、藤井七段が対局に持ち込んだものに杉本師匠はふと気づきました。 杉本八段:
「私の七段時代の扇子を使っていた。自分の目標や、あこがれの棋士の扇子を使うもの。こちらとしては嬉しいですけど、なんとも言えない気持ち」 そして対局から12時間10分…。 杉本八段:
「負けました」 95手で、藤井七段が師弟対決を制しました。2度目の「恩返し」です。 藤井七段:
「(師匠の)和服に関してもそうですし、将棋の方も一手、一手、力がこもっていたのは感じでいたので。これから大事な対局が続くので、(師匠の)そういう気持ちを忘れずに指したいと思います」 杉本八段:
「対局過多で、体力的なものだけはやや心配がありましたけど、対局してみて将棋指しているときは楽しそうだったので。今の充実ぶりであれば、何も心配することはないですね」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース