吉沢英将
2029年度からの運用を予定している気象衛星「ひまわり」の後継機について、気象庁は21日、大気の状態を立体的に観測できる最新のセンサーを搭載する方針を明らかにした。短時間で集中豪雨をもたらす「線状降水帯」の発生を的確に予測できるようになるという。
同庁によると、ひまわりの後継機に搭載される方針なのは「赤外サウンダ」と呼ばれる観測装置。現在は水蒸気などの分布を上空から面的にしか捉えることができないが、新しい衛星はこのセンサーを用いることで、水蒸気などを立体的に捉えることが可能になるという。
線状降水帯は、水蒸気を大量にふくんだ空気が狭い範囲に流れ込むことでできる。観測した立体的な水蒸気の分布データをスーパーコンピューターで分析することで、線状降水帯ができる過程が正確に予測できるようになるという。このほか、台風の進路予報で暴風警戒域を絞ることもできるようになるとしている。
現行のひまわり8号と9号は、いずれも29年度までに設計寿命を迎える。このため政府は20年に閣議決定した宇宙基本計画で、23年度をめどに後継機の製造を始め、29年度には運用を始めると決めている。19年から新しい気象衛星のあり方を検討してきた同庁の有識者懇談会はこの日、センサー搭載を求める中間とりまとめを同庁に提言。同庁は来年度の予算に製造費を盛り込む方針だ。(吉沢英将)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル