小野太郎 棚橋咲月
防衛省が沖縄県うるま市に陸上自衛隊の新たな訓練場を整備する計画をめぐり、自民党県連は27日の県議会で、防衛省に白紙撤回を求める考えを示した。地元で計画断念を求める声が強まり、島袋大幹事長は「現在の状況では合意形成を得ることは難しいと言わざるを得ない」と述べた。
防衛省は那覇市に拠点を置く第15旅団の「師団」格上げに伴う人員増で訓練場が必要になるとして、2024年度にゴルフ場跡地(約20ヘクタール)を取得する計画だ。だが、住宅街や教育施設に隣接することから、騒音や事故を懸念する地元自治会が計画の白紙撤回を要求。市議らでつくるグループが党派を超え、計画断念を求める署名活動などの準備を進めている。
島袋氏は防衛力を抜本的に強化する政府の基本方針を「容認する立場」としつつ、地元での動きを念頭に「計画を白紙撤回をするよう強く求めなければならない。(防衛省に)一刻も早く要請行動を行いたい」と語った。今月中旬に沖縄本島を訪問した木原稔防衛相に計画の白紙撤回を求めていた玉城デニー知事は記者団に「今後、政府の方針が変わらないなら、県もさらに強く言わざるを得ない」と話した。
与野党が拮抗(きっこう)する県議会は今年6月に改選を迎える。県政野党の自民党県連は、整備計画が選挙戦に影響を与えかねないとして、慎重に対応を検討してきた。
林芳正官房長官は27日の記者会見で「防衛省として、現時点において計画を白紙にするという考えはないものの、住民生活との関係を重視する観点から、取得後の土地の利用のあり方については改めてさらに検討を行っている」と述べた。(小野太郎、棚橋咲月)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル