新型コロナウイルスの「第6波」によって、夜の店はみたび苦境に立たされている。「夜の公共圏」としてのスナックやクラブ、バーなどを調査している「夜のまち研究会」を主宰する谷口功一・東京都立大教授(法哲学)のもとには、全国の店主から嘆きの声が届いている。
「午後8時以降の酒提供を禁止すれば、感染が抑えられるわけではない。実効的でないことは明らかなのに、わかりやすい対策として、立場の弱い飲食店が狙い撃ちにされた形だ」と谷口さんは言う。
1964年の東京五輪を機にスナックという業態は誕生したとされる。くしくも2度目の五輪を前に、店は激減した。
研究会の調査によると、スナックやクラブ、キャバレーなど2015年に約10万軒あった店舗数は、21年3月時点で約6万9千軒にまで減った。7万4千軒あったスナックも、4万9千軒にまで減っているという。
「大都市の繁華街がひどい。自宅兼店舗のような地方のスナックが持ちこたえられても、都市部は地代が払えず耐えきれない。銀座でも大通りの路面が空き始めているが、中期的に経済的な困窮に追い込まれる人が出てくる」と懸念する。
飲食店で10年にわたり営業できるのは「3割」とされ、夜の街では廃業と開店が繰り返されてきたが、谷口さんは「産業クラスターとして破壊される勢いであり、通常の新陳代謝を超えている」と話す。
「夜の公民館」機能も大事
「昼カラオケ」など高齢単身…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル