その瞬間、母親はうつむき涙ぐみながら何度も目を抑えていました。 生後3カ月の長男への虐待を疑われた母親に無罪判決…。
<裁判長>
「これから家族との時間を大切に過ごしてください」 <浅野被告>
「ありがとうございます」 母親と長男との間に一体、何があったのでしょうか。 2016年5月24日。この日を境に親子の暮らしは一変しました。 起訴状によりますと、大垣市の浅野明音被告(27)は自宅アパートで、当時生後3か月の長男の体を激しく揺さぶる暴行を加え、脳などに重い後遺症を負わせたとされていました。
問われたのは傷害罪。
検察側は「身体を激しく揺さぶるなどの方法により、頭部に衝撃を与える暴行を加えた」と指摘し、懲役5年を求刑。 一方、弁護側は「授乳クッションを枕に、ソファで寝ていた長男が床に落下した事故」と反論。浅野被告も起訴内容を否認しました。
双方の主張が真っ向から対立した裁判で、検察側はある根拠をもとに「揺さぶり虐待」と主張していました。それは「乳幼児揺さぶられ症候群=SBS」理論です。
硬膜とくも膜の間に出血する硬膜下血腫、網膜出血、そして脳が腫れる脳浮腫。この3徴候があった場合、揺さぶられ症候群である可能性が極めて高いと診断する考え方です。 厚生労働省は2013年に改定した虐待対応の手引に、経緯がわからない硬膜下血腫は「SBSを第一に考えなければならない」と記載。
検察官の児童虐待捜査のマニュアルにも「診断の際はSBSの3徴候を確認する」と記してあります。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース