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記録的な豪雨で川の氾濫や土砂崩れが相次いだ熊本県で6日夕方、球磨村の特別養護老人ホーム『千寿園』で心肺停止の状態で見つかった14人の死亡が確認されました。熊本県での死者は合わせて49人に上り、1人が心肺停止、11人が行方不明となっています。球磨川の流域では広い範囲が水に浸かり、道路の寸断や橋が崩れたりして、現在も孤立している地域があります。国土交通省によりますと、球磨川が流れる八代市や球磨村など少なくとも11カ所で氾濫し、人吉市の堤防が決壊したことが確認されています。 決壊現場のすぐ近くで撮影された映像には、4日午前7時半ごろに、堤防からすでに水があふれ始めている様子が映っていました。その後も、球磨川を流れる水の勢いは収まらず、滝のように住宅街へと流れ込みました。動画を撮影した四元竜一さんは友人の会社が現場近くにあり、その様子を見に来た際、撮影を始めたといいます。
動画を撮影した四元竜一さん:「動画をスマホで撮影してて、見る見るうちに水が増えてきて、このままだと逃げれなくなると身の危険を感じて、撮影をやめて車まで走って逃げた。生きた心地がしないというか、逃げることに必死」
逃げる途中で轟音が聞こえ、四元さんは堤防が決壊したと感じたそうです。それから2時間後の午前9時半ごろに戻ってみると、辺りは一面の泥の海と化していました。
動画を撮影した四元竜一さん:「本当に10分、15分遅かったら危なかったかも。もしかしたら被害に遭っていたかもしれない」 人吉市は九州の小京都とも呼ばれ、温泉と川下りで有名な観光地です。人吉市で113年続く、老舗のうなぎ店『上村うなぎ屋』にも、2階まで濁流が押し寄せました。新型コロナウイルスの影響で減った客足が戻りつつある矢先に起きた豪雨災害で、店の姿は変わり果ててしまいました。
上村うなぎ屋3代目・上村由紀穂さん(70):「2月あたりからぐっと落ちた。もう人が街歩いてないですもん。大変ですね、ほんと」
上村さんには、このほかにも心配なことがありました。持病の薬が水に浸かってしまったのです。しかし、薬を処方してもらう、かかりつけの病院や薬局も片付けに追われていました。
辻循環器内科・宮原祥子事務長:「全部、水に浸かってしまって。カルテも医療機械もレントゲンも、水に浸かってしまった。何もできない。患者さんたちには、もう迷惑かけてるんですけど、もうこの状態じゃどうにもならないですね」
再開のめどは立たず、かかりつけの患者には、別の病院を紹介して対応しているといいます。 険しい山間部を縫うように流れる球磨川流域では、これまでも梅雨や台風の季節に多くの水害が起きていて、地理的特徴が指摘されています。球磨川には、人吉盆地を抜けて再び山間部に入って行くところに、川幅が急に狭くなる『狭窄(きょうさく)部』があります。狭窄部は大雨になると水位が上がるのが特徴で、国土地理院は、狭窄部での水深が一時8~9メートルに達していたと推定しています。専門家は、狭窄部も含めて「複数の洪水が重なった」と指摘しています。
九州大学工学研究院・島谷幸宏教授:「千寿園みたいに合流点の水位が上がって、バックウォーターの影響を受けて氾濫したところ。狭い狭窄部といわれる所での水害。上流からたくさんの水が流れてきたということで『流下能力』川が洪水を流す能力を超えた水が来たので、人吉盆地で大規模な氾濫が起きた。3つくらいのタイプの洪水があった。色々な災害の複合的な災害」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース