《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=を虐待して死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)に対する弁護側の被告人質問が続く。雄大被告から結愛ちゃんへの暴行の詳細が明かされ、弁護側は続いて結愛ちゃんが死亡するまでの経緯について質問する》
弁護人「体調の変化はありませんでしたか」
雄大被告「嘔吐したことがありました」
弁護人「どんな嘔吐ですか」
雄大被告「一般的な、消化されていない固形物が混じった、黄色い感じです」
弁護人「それを見てどうしましたか」
雄大被告「驚いて、パニックになって、まずは服を脱がせてきれいにしました」
弁護人「何か食べさせたり飲ませたりは?」
雄大被告「うまく消化できていないと思ったので、何か消化にいいものをと思ってゼリーとかジュースとかをあげたと思います」
弁護人「結愛さんは食べられましたか」
雄大被告「ゼロではないですが、ほとんどものを受け付けなくなって、胃に入れることができるものもわずかでした」
弁護人「その様子を見て病院には行かなかったんですか」
雄大被告「結愛がどういう状態なのか確かめようと思いました」
弁護人「どういう状態だと思いましたか」
雄大被告「専門家ではないので分かりませんが、O157とか食中毒ではないかと思いました」
弁護人「ひどく衰弱しているとは思いませんでしたか」
雄大被告「そこには考えが至らなかったです」
弁護人「結愛さんの体型はどうなりましたか」
雄大被告「あまり注目して見るという意識があったわけではないので」
弁護人「体重の記録は?」
雄大被告「見ていたと思います」
弁護人「13キロ台まで落ちましたよね?」
雄大被告「体重を減らそうとは思っていないのに増えてくれないな、と思いました」
《言いよどむこともなく淡々と答えていく雄大被告。元妻、優里被告の公判では、次第に「ご飯を食べたくない」と言い始めた結愛ちゃんに、雄大被告は「ダイエットになっていいじゃないか」と言い放ったことも明かされていた》
弁護人「体重が減って危ないとは思いませんでしたか」
雄大被告「そういう認識はありませんでした」
弁護人「やせているなと思ったことはありますか」
雄大被告「おかしいなと思ったのは、おむつをはかせようとしたことがあって、本人のものではない(下の子の)サイズなのに入ったので。おかしいな、と」
弁護人「結愛さんの普段の服装は?」
雄大被告「パジャマというか、冬なので厚着はしていました」
弁護人「靴下ははいていましたか」
雄大被告「入浴の時以外ははいていたと思います」
弁護人「亡くなる前の日にも嘔吐していますね。前の嘔吐と何か違いはありましたか」
雄大被告「前よりも液体っぽいというか。色もうす茶色のような色でした」
弁護人「それを見て命の危険を感じませんでしたか」
雄大被告「少なからずよぎったと思います」
弁護人「病院には?」
雄大被告「自分の保身を優先させてしまいました」
弁護人「今思うとその判断はどうですか」
雄大被告「全く持ってあり得ない判断だと思います」
弁護人「どういう対応をしようと思いましたか」
雄大被告「自分の力でなんとか嘔吐を止められないかと思い、インターネットで調べると、経口補水液とブドウ糖がいいという記事を見つけました」
弁護人「亡くなった日の午前中は何をしていましたか」
雄大被告「下の子を連れて自転車で薬局に行き、経口補水液とブドウ糖を買って昼前後に戻ったと思います」
《激しく衰弱する結愛ちゃんに対し、自力で対応しようとした雄大被告。検察官が証拠調べで示した事件直後の現場写真には、結愛ちゃんが寝ていた布団の横に、経口補水液のペットボトルとブドウ糖のあめが置かれていた》
弁護人「家に帰ってどうしましたか」
雄大被告「優里さんに経口補水液とブドウ糖を渡しました。優里さんから『私が面倒を見るから、下の子を連れてもう一度外出してくれ』と言われ、外出して夕方頃に戻りました」
《優里被告は自身の公判の被告人質問で、雄大被告が家にいることがストレスになると考え、外出を促したと証言していた。その時点ではDVDを見たり話をしたり、笑顔も見られたという》
弁護人「戻ってからどうなりましたか」
雄大被告「リビングにいたら、子供部屋から優里さんの悲鳴のような大きな声がしたので子供部屋を見に行きました。優里さんはパニックでうろたえていました」
弁護人「結愛さんの状態は?」
雄大被告「意識がもうろうとしている様子でした」
弁護人「それを見てどうしましたか」
雄大被告「大声で話しかけました」
弁護人「グーとパーができるかと聞きましたか」
雄大被告「ゆっくりではありましたが1回目はできました。同じことを繰り返し言うと、だんだんできなくなって意識を失っていきました」
弁護人「それでどうしましたか」
雄大被告「慌てて、優里さんに『救急車を呼べ』と言いました。結果的には先に携帯電話を見つけた私が通報しました」
弁護人「コールセンターの人とはどのような話をしましたか」
雄大被告「住所を説明して、状態を話しました。不安で『切らないでください』と言いました。救急隊が到着するまで何かできることはないかと聞き、人工呼吸や心臓マッサージをするように言われました」
弁護人「それでどうしましたか」
雄大被告「携帯を持っていて片手がふさがっていたので、指示されたことをそのまま優里さんに言いました」
弁護人「救急隊を待っている間、何を思いましたか」
雄大被告「不安で不安で1秒でも早く来てほしいと思いました」
弁護人「亡くなってしまったことは、どこで聞きましたか」
雄大被告「病院です」
弁護人「どう思いましたか」
雄大被告「頭が真っ白になってどうしたらいいか分かりませんでした」
《淡々と答える雄大被告に動揺や涙は見られず、事件に対する心中はうかがえなかった。弁護人は最後に、起訴されている大麻所持について質問する》
弁護人「大麻はどこで手に入れたものですか」
雄大被告「はっきり覚えてはいませんが、恐らく独身時代に東京で入手したものだと思います」
弁護人「札幌や香川や結婚後に入手したものではありませんか」
雄大被告「私の記憶では結婚後、入手したものではないと思います」
弁護人「結婚後に大麻を吸うことはありましたか」
雄大被告「数回です。1人でいるときで、家で吸ったこともありません」
弁護人「なぜ家で吸わなかったんですか」
雄大被告「知られるのが嫌だったからです」
弁護人「結愛さんに対する事件と、大麻は何か関係がありますか」
雄大被告「私の記憶ではないと思います」
《雄大被告への弁護側の被告人質問が終わり、休廷を挟んで検察側の質問に移る》
=詳報(5)に続く
Source : 国内 – Yahoo!ニュース