森下裕介
1400年代の有力者らの墓とされる沖縄県今帰仁村(なきじんそん)の「百按司墓(むむじゃなばか)」から、京都帝国大(現京都大)の研究者が昭和初期に収集した遺骨を巡り、県出身者らが返還を求めた訴訟の控訴審判決が22日、大阪高裁であった。大島真一裁判長は、原告側の請求を棄却した一審判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
遺骨は京都帝大医学部の研究者によって1930年ごろに収集され、現在も一部を京大が保管している。原告は、15世紀に琉球を治めた王家「第一尚氏」の子孫などにあたるといい、「琉球民族の慣習にのっとると、祖先の墓は一族の末裔(まつえい)全てで守るものだ」として所有権を主張した。
昨年4月の一審・京都地裁判決は、遺骨の所有権は明確に定めるべきだとし、「不特定多数が返還請求権を行使できない」と判断した。原告らの心情に酌むべき点があるとする一方、遺骨には「貴重な資料としての性質もある」と指摘。「関係機関を交え、返還の是非や時期を協議し、解決に向けた環境整備が図られるべきだ」と述べた。(森下裕介)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル