立憲民主党の代表選が19日告示され、逢坂誠二氏(62)、小川淳也氏(50)、泉健太氏(47)、西村智奈美氏(54)の4人が名乗りを上げた。野党第1党の新たな「顔」を目指す4人はどんな人物なのか。党所属の地方議員や党員は党勢の立て直しを左右する代表選に何を望むのか。
逢坂氏、35歳で町長経験
逢坂誠二氏は1994年から2005年まで北海道ニセコ町長を3期途中まで務めた。町長選当選時は35歳で全国最年少(当時)の町長となり、01年には町づくりへの住民参加や情報共有をうたう全国初の地方自治基本条例を制定し、「改革派首長」として知られた。
05年に民主党(当時)から比例北海道ブロックで初当選。09年衆院選では函館市などを含む道8区から立候補し再選。政権交代後の民主党政権で鳩山由紀夫首相らの下で首相補佐官を務めた。民主党が下野した12年衆院選で落選したが、17年衆院選で返り咲いた。
首長を務めた経験から、「地域があって、国がある」をスローガンに、こまめに地元の行事などに参加し、住民の要望を聞く姿勢を貫く。
元町議で喫茶店経営の松田裕子さん(64)は、逢坂氏が町職員だった時代からの付き合いだ。若手職員や住民との勉強会で「旧態依然とした町を変えよう」と議論したという。「改革派町長」時代の逢坂氏について「守旧派の町議や町幹部にいろいろなことで反発されていた」と振り返る。「普段は明るい鉄道ファンですが、政治に関しては卓越している。野党代表として実効性のある政策論争ができる人です」と語った。(鈴木剛志)
小川氏、地道に対話重ねる
小川淳也氏の政治活動をボランティアで支える「じゅんじゅん会」会長の多田孝三さん(77)は、小川氏の強みについて「対話姿勢」と「あきらめない力」を挙げる。「小選挙区で何度落選しても食らいつき、地道に一人ひとりとの対話を重ねてきた。淳也さんの人柄にほれて集まった人が大勢いる」と話す。
小川氏が代表選告示の前日に立候補にこぎつけたことも、「最後まであきらめなかったのだろう。(ドキュメンタリー映画で知名度が上がった)淳也さんの立候補で、代表選自体の注目度が上がるはずだ」。
長男が小川氏と小中学校で同級生で、同じ少年野球チーム。「中心に立ってチームをまとめ、ひっぱる力があった」と振り返る。小川氏が総務省を退職し、2003年に衆院選に初挑戦すると聞いた時について、「よく帰ってきてくれたと思ったが、『地盤、看板、カバン』何もないので驚いた」。
「国民から信頼される政治家が求められている。自分を律し、模範となれる淳也さんのような人が必要だ」と、「小川代表」の誕生を期待する。(湯川うらら)
泉氏、偉ぶらず地元大事に
京都市伏見区の女性(75)は2000年の衆院選で泉氏が落選した後に知人の紹介で会って以来、泉健太氏を支援してきた。北海道出身の泉氏が、京都の地元を大事にしていると感じるからだ。13年に台風で桂川が氾濫(はんらん)した際には駆けつけて困りごとはないか聞いてくれた。地域の伝統行事「地蔵盆」に参加してくれたこともある。
「党での立場もあるし、しんどいだろうけど、頑張って。総理大臣になるまで応援してます」。10月の衆院選後、通信アプリ「LINE」で泉氏にそうメッセージを送った。党代表選をめぐり、泉氏の名前が取りざたされていた時期。すると、泉氏から「代表選に出ないほうがいいってこと?」と電話がきた。「何かあると、すぐ連絡くれはって。若い時から偉ぶらないし、人を大切にしはる人」と女性は話す。
03年の初当選時を振り返り、「あの時は国会の後ろの方に座ってた健太君が今は立派に論戦をはっている。大きなりはって、うれしい」。来夏には参院選が控える。女性は「課題は山積み。私たちが安心して笑顔で暮らせる社会にしてほしい」と期待する。(大貫聡子)
西村氏、市民目線と信念の人
西村智奈美氏は新潟国際ボランティアセンターで事務局長を務めていた。ともに運営にあたった新潟県立大の若月章・名誉教授は「市民目線を大切にし、信念がある」と語る。
新潟大で国際政治を学んだ西村氏はゼミの研修でタイを訪れたのを機に、東南アジアの貧困問題に関心を持ったという。タイやラオスなどで保健衛生の改善や学校建設に取り組んだ。新潟県内の企業や自治体を丹念に回り、チャリティーイベントの開催に奔走していた姿が印象的だという。「ぶれない軸で、社会のために活躍してほしい」(里見稔)
記事の後半では、立憲の党員やサポーターらに衆院選でなぜ立憲は議席を減らしたのか。今回の代表選でどんな論戦を望むのか聞きました。また、一橋大の中北浩爾教授に、今回の代表選で何が問われているのか尋ねました
■党員ら「刷新」「原点大切に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル