昨年10月6日に築地市場が営業を終えて、まもなく1年。飲食店などが立ち並ぶ隣の「場外市場」のにぎわいに陰りが出始めている。仕入れのついでに立ち寄っていた人や日本人観光客が減っているためだ。「やっぱり築地と思ってもらえる場所にしたい」と、現場では活気を取り戻すための動きも出てきた。(長野佑介)
「まっすぐ歩けないくらい、いつも人であふれていたんだけどねぇ」
9月下旬の昼過ぎ、築地場外市場の卵焼き店「山長」社長、松江国雄さん(46)は嘆いた。
場外市場は460ほどの飲食店や鮮魚、食器類、刃物などの店が軒を連ねる。築地市場の移転前は朝からにぎわっていた。
いまもラグビー・ワールドカップの影響で多くの外国人観光客が訪れ、一見、以前と変わらないようにも見える。しかし仕入れのついでに立ち寄っていた日本人客が減り、売り上げは前年より2割ほど減った。人通りがまばらになることも少なくない。
海産物販売店「マルタ食品」の田所嘉明さん(51)は「この1年で観光地化に拍車がかかった。生活に必要な物を買いに来る場所ではなく、雰囲気を楽しむ場所になっちゃった」。観光客が移動中のバスなどでつまめるよう乾き物の取り扱いを増やしたが、売り上げは移転前より4割ほど減ったという。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル