具志堅直、加治隼人
日米両政府が検討する海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)への米空軍無人偵察機MQ9の一時展開をめぐり、防衛省は23日、部隊展開に向けた日米合同の現地調査の結果を県と市に伝えた。8機を7月ごろから1年間展開し、機体操作や整備、後方支援の要員ら150~200人を駐留させると説明した。自衛隊基地に米軍無人機を展開するのは初めて。
防衛省によると、日本周辺空海域での中国の活動が活発化しており、日米共同でこれらの行動を防止・抑制するため、東シナ海を中心に周辺海域での情報収集や偵察活動が必要と判断した。MQ9には武器を搭載せず、昼夜を問わず悪天候でも観測できる高性能センサーを搭載する。
今年2、3月の調査で、鹿屋基地の地理的な位置は展開に最適で、インフラ面でも問題ないと判断。一方、基地内での宿泊・食事の提供はできず、市内のホテルを確保するとした。中西茂市長は「市民に理解が得られるかや市議会での審議を踏まえて判断したい」と話した。
県庁で説明を受けた塩田康一知事は、米兵が基地の外にも滞在することになるため、住民に事件や事故の不安があると指摘。防衛省や米側と連絡・調整ができる体制の整備を求めた。計画への賛否については「まだ分からないことがあり、地元の考えも聞いて検討したい」と述べた。
鹿屋に米軍はいらない大隅住民の会代表で元市議の真島幸則さん(73)は「偵察と言っても戦争の準備行為だ」と反対する。「防衛省は『1年間の一時展開』だと強調するが、いずれ常駐する口実になるのではないか」と懸念を示した。(具志堅直、加治隼人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル