女性として生まれ、男性として生きる岡山県新庄村の臼井崇来人(たかきーと)さん(50)が申し立てた性別変更の審判で、岡山家裁津山支部(工藤優希裁判官)は7日、性別変更を認めた。
臼井さんの申し立ては2019年に最高裁で退けられており、2度目の申し立てだった。
最高裁が昨年10月、別の申立人の審判で、戸籍上の性別変更に生殖能力を失わせる手術が必要とする性同一性障害特例法の規定を「違憲」と判断したことを受け、臼井さんは昨年12月、2度目の申し立てに踏み切った。
臼井さんは性同一性障害と診断されているが、卵巣摘出などの手術は受けていない。岡山家裁津山支部は昨年の最高裁決定を引用し、生殖能力を失わせる手術が必要とする特例法の要件は、憲法13条が保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を制約すると指摘した。
特例法は性別変更の要件として、生殖能力を失わせる手術に加え、「変更する性別の性器に似た外観を備えている」ことも必要と定めている(外観要件)。同支部は、臼井さんが外観要件を満たしているとし、外観要件が違憲かどうかの判断は示さなかった。
臼井さんは16年、性別変更に手術を必要とするのは違憲だと訴えて性別変更を申し立てたが、同支部と広島高裁岡山支部に退けられ、最高裁も19年に「現時点では合憲」と判断していた。(上山崎雅泰)
「結婚、家族。幸せ感じられれば」
「今まで訴え続けて、こういう結果になったのがうれしい。地表に出ていなかった種から、柔らかい芽がアスファルト(の下)から出て、これから成長していくのかな」。7日、岡山市内で記者会見した臼井さんは、こう喜びを表現した。
農業を営み、パートナーの女性(46)と女性の長男(13)と3人で暮らす。16年3月、役所に婚姻届を提出したが、受け取ってもらえなかった。
本質は、手術のあるなしでは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル