森下裕介
運転開始から40年超の老朽原発として稼働中の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)をめぐり、地元住民らが運転差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、大阪高裁(長谷川浩二裁判長)は15日、却下した大阪地裁決定を支持し、住民側の即時抗告を棄却する決定を出した。
仮処分は福井県、京都府、滋賀県の住民が申し立てた。住民側は、周辺の活断層や敷地直下の断層によって原発の地盤がずれる可能性がある▽老朽化で重大事故の可能性が高まっている――などと主張した。
2022年12月の大阪地裁決定は、関電が新規制基準に沿って劣化状況評価などを実施し、原子力規制委員会が延長を許可したと認定。「40年以上経過していることをもって、新規制基準以上に安全性を厳格に判断しなければならない事情はない」などとし、申し立てを却下し、住民側が即時抗告した。
即時抗告審で住民側は、1月1日に発生した能登半島地震を念頭に、原発事故時の避難に対する懸念を改めて強調。原子力災害対策指針で「屋内退避」と定められている原発の5~30キロ圏内の住民の避難方法について、「揺れの強い地震では家が押しつぶされる恐れがある。避難経路が寸断された場合の規定もなく、避難計画は不十分だ」と訴えた。
原発の運転期間は11年の東京電力福島第一原発事故を受け、「原則40年」のルールができた。だが、規制委が認可すれば最長60年に延長できる規定があり、美浜3号機などに適用されている。さらに、23年5月成立の「GX脱炭素電源法」で、60年超の運転も可能となった。(森下裕介)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル