台風19号は各地に大きな被害をもたらしましたが、東海地方も60年前、伊勢湾台風で甚大な被害を受けました。その伊勢湾台風の後、人々を励まそうとハリウッド女優から“ピアノ”が贈られ、今も大切に使われています。
名古屋市南区の「みなみほいくえん」。園児の合唱で伴奏に使われているピアノ。だいぶ年季が入っています。しかし、側面に付いた金色のプレートが、このピアノが特別なものであることを物語っています。
<伊勢湾台風被災者のため収益金を寄託されましたので、ピアノをお贈りいたします。『愛のピアノ』として永くご好意を感謝いたしましょう>
「愛のピアノ」の贈り主は、シャーリー・マクレーンさん、現在85歳。代表作「愛と追憶の日々」でアカデミー賞を授賞した名女優です。
60年前、東海3県を中心に死者・行方不明者5000人以上を出した伊勢湾台風。伊勢湾台風のことを知ったシャーリーさんは、夫や仲間と集めたお金で、名古屋や三重など被害があった学校に、合わせて47台のピアノを贈ったのです。
保育園の理事長・横井利明さんは、4年前、近くの小学校から、空き教室に残されていた「愛のピアノ」を借り受けました。
横井さん:
「シャーリーマクレーンさんは子ども達や皆さんが亡くなった事に、本当に心を痛められて何とか支援しようと。学校へ(ピアノを)贈った最も大きな理由は、子ども達にもう1回笑顔を取り戻したい、そのように私も聞いておりますから」
借りた当初は出ない音もありましたが、調律を繰り返すなどして60年前の音色を取り戻しました。
横井さん:
「このピアノを子ども達が使ったり踊ったり歌ったりすることで、伊勢湾台風の記憶を子ども達にも是非引き継いでほしい。シャーリー・マクレーンさんの思いを次の時代に伝えることによって、助け合いのできるそんな社会になればいいと思っています」
東海テレビ放送
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