静岡県小山町で観光バスが横転して1人が死亡、多数が負傷した事故から13日で1カ月。急勾配の下り坂で事故が起きたことから、ブレーキのききが悪くなる「フェード現象」に注目が集まっている。車に関わる県内の業界関係者も、再発防止のためにブレーキの使い方に注意を促している。
「横転事故後、教習を受けに来た人に今回の事例を紹介しながら、エンジンブレーキの大切さを教えている」と話すのは、古庄自動車学校(静岡市葵区)の松本成立(しげたつ)校長だ。
同校では小型車などのほか、中型車のコースがある。路上教習では長い下り坂がある長沼大橋を通るコースがある。教習生には、低いギアに入れてエンジンブレーキの性能を体験してもらう。エンジンブレーキを分かりやすく伝える工夫の一つという。
フェード現象とは、フットブレーキを使いすぎて関連部分が過熱し、摩擦が小さくなってブレーキのききが悪くなることだ。
事故を起こしたバスのフットブレーキで使われていたドラム式ブレーキは、車軸に取り付けられたブレーキドラムの内側に摩擦材を貼ったブレーキシューを押しつけて減速、停止させる仕組み。フットブレーキを使い過ぎると、過熱で摩擦材が溶けたり、摩擦材が接触するドラムも焼けたりして、摩擦力が急速に落ちる。大量の荷物や人を運ぶ大型車は摩擦熱が発生しやすいため、フェード現象が起きやすいとされる。
事故を起こした車両は、ドラム部分が赤褐色に焼けていたといい、県警は「フェード現象が考えられる」としている。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)容疑で送検された運転手は処分保留で釈放されたが、県警や静岡地検沼津支部が在宅で捜査を続けている。県警によると、けが人は重傷11人、軽傷16人の計27人になったという。
静岡県バス協会は今月下旬…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル