サイバー保険を名目とした特殊詐欺で現金約1700万円をだまし取ったとして、愛知県警などの合同捜査本部が23日、男2人を詐欺容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材でわかった。被害金は暗号資産に交換されたあと口座を転々とし、最終的に取引所の口座に流れていたという。
この口座からは日本円で約6億円分が換金されたとみられる。捜査本部は、特殊詐欺グループが暗号資産を使って詐取金を洗浄(マネーロンダリング)していた疑いがあるとみて全容解明を進める。
この事件の捜査では、昨年4月に発足した警察庁のサイバー特別捜査隊が支援した。専用の資機材を導入し、高度な解析技術を駆使して、暗号資産の動きを追跡。特捜隊による特殊詐欺被害金の追跡が容疑者の摘発につながったのは初めてという。
捜査関係者によると、逮捕されたのは、職業不詳の宮代東生(35)=埼玉県川口市=、古物販売会社代表の本間周平(35)=東京都新宿区=の両容疑者。2人はほかの者と共謀し、昨年2~4月、セキュリティー関連の協会職員や警察官などを名乗って愛知県知多市の会社員女性(78)に電話し、「携帯電話がウイルスに感染し、遠隔操作され、多くの人に被害が出ている。弁済する義務があり、サイバー保険に入れば補償を受けられる」などと偽った。その上で、宮代容疑者らが管理する口座に39回にわたり計1759万円を振り込ませて詐取した疑いがある。
県警の捜査で、この被害金がすべて暗号資産に換えられたことが判明。暗号資産は「ブロックチェーン」と呼ばれる技術で取引が記録、管理されており、サイバー特捜隊が取引状況を解析するなどした結果、暗号資産の口座を転々とした末に、最終的に取引所の口座に行き着き、現金に戻されているのを突き止めた。
この口座は、本間容疑者が代表を務める古物販売会社の名義だった。宮代容疑者が実質的な経営者を務めており、両容疑者の関与の疑いが浮上したという。
警察庁の「サイバー特別捜査隊」が追跡 発足以来、初の摘発
追跡作業で、使われた暗号資産の口座には、ほかからも暗号資産が流れていることを確認。捜査本部は、これらのもとは特殊詐欺の被害金である疑いがあるとみて捜査。最終的な集約先になっていた取引所口座からは計約6億円分が現金化されていた。
愛知県内では昨年1月~今年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル