事件・事故の捜査や容疑者逮捕などに欠かせない警察官の装備。その管理業務に携わる合間に、現場がより使いやすい道具の開発に力を注ぐベテラン警察官が福岡県警にいる。開発に必要なことは、だれでも思いつきそうなことの盲点を突く「コロンブスの卵」のような発想だという。
「拳銃を手入れしたが、ネジがきれいに締まらない」「この取り扱いで間違っていないか」。福岡県警本部(福岡市博多区)の一室には日々、県内に36ある警察署の署員らからそんな問い合わせが寄せられる。
福岡県警装備課。刑事や地域警察官のように現場へ向かうことはない。装備品の管理などで下支えする、「黒衣」ような存在だ。
装備課が扱うのは制服や手錠、警棒、拳銃といった身の回りのものだけでなく、パトカーや白バイ、さらに警察用船舶まで多岐にわたる。電話での問い合わせや相談を解決できなければ、署や本部外の庁舎に向かうこともある。
中心にいるのが装備課装備係警部補の下川順一さん(59)。1982年に警察官となり、第2機動隊や駐在所、自動車警ら隊を経て、2004年に巡査部長として装備課に配属。4年半勤め、小倉北署、北九州市機動警察隊、第1機動隊で勤務後、19年に警部補として再び装備課へ。装備課の勤務は通算10年目になる。
下川さんが一目置かれている役割がある。通常の業務のかたわら、新たな装備品の開発をしている。
例えば警棒のグリップ。ゴム製で使ううちにボロボロになり、ちぎれることもある。そこで下川さんはテニスラケットのグリップを参考に、巻きつけて接着するタイプに切り替えた。それまで警棒ごと交換していたが、劣化したグリップを取り換えるだけで、支出の抑制につながったという。
支出を抑える開発は、ほかに…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル