富岡崇
豊田自動織機がトヨタ自動車から開発と生産を委託されている自動車用ディーゼルエンジンなどの試験で不正をしていた問題で、国土交通省は30日午前、同社の碧南工場(愛知県碧南市)への立ち入り検査を始めた。不正行為の事実関係やエンジンすべての基準適合性を調べ、道路運送車両法に基づいて対処するとしている。
午前9時前、同省職員6人が検査に入った。大量生産に必要な「型式指定」を取り消す必要があるかどうかなどを確認するという。
同社の高木博康執行職は報道陣の取材に応じ、「このような事態を招いてしまい、申し訳ありません」と陳謝。原因について、「複合的なものだと思うが、フォークリフトエンジンの認証に対してしっかりとした経営資源をあてられなかった。組織経営としても、しっかりと注目する、変化を敏感に感じ取ることが結果的にできなかった」などと説明した。また、「ご迷惑をおかけしている仕入れ先や販売店には個別に補償の対応をしている」と話した。
林芳正官房長官は同日午前の会見で、「自動車などのユーザーおよび我が国の自動車産業の信頼を損ない、かつ自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で、今回更なる不正行為が明らかになったことは遺憾」と述べ、斉藤鉄夫・国交相も「(立ち入り検査を通じて)不正行為の事実関係などについて確認を行い、その結果を踏まえ厳正に対処してまいりたい」と話した。
同社はトヨタの源流企業で、昨年3月にフォークリフト用エンジンの排ガス試験などをめぐる不正が発覚。外部弁護士らによる特別調査委員会が調べた結果、乗用車向けのディーゼルエンジン3機種でも出力試験の際に安定した結果が得られるよう、燃料の噴射量をわざと調整するなどの不正が見つかった。
該当エンジンの搭載車のうち、国内販売は「ランドクルーザー300」や「ハイエース」など6車種で、トヨタは国内外で10車種の出荷停止を決定した。(富岡崇)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル