原知恵子 古畑航希
「市民の憩いの場」として設けられた一角が、閉鎖される事態が1カ月以上続いている。札幌中心部に広がる地下空間だ。迷惑行為の多発が理由で、逮捕者も出ている。
「終日閉鎖」
5月12日、札幌中心部にある市営地下鉄「大通駅」のコンコースの一角は、この日もベルトパーティションで囲まれていた。内側には四つのテーブルやイスが備えられているようだが、全てカーテンで覆われている。
大通駅は3路線が乗り入れ、「時計台」「テレビ塔」の名所も近い交通の要所だ。閉鎖の一角は、休憩や待ち合わせができる「憩いの場」として2015年に誕生したが、ここ最近は付近で迷惑行為が相次ぐようになった。▽大声で騒ぐ▽通行人に声をかける▽喫煙といったものだ。
市によると、昨年12月下旬から今年3月の間、駅の係員が対応したのは200件。車いすの乗降補助などほかの駅業務にも支障がでていることから、市は4月4日から「当面の間、休憩スペースの一部を閉鎖する」と決断した。秋元克広市長は4月12日の会見で「迷惑行為は札幌にとってとても恥ずかしいこと。やめていただく前提で、早く開放させていただくことが重要」などと語った。
ただ、その後もトラブルは絶えず、4月下旬には付近でナタを持った男(26)=15日、器物損壊などの容疑で再逮捕=が暴れ、ベンチを壊す事件も起きた。
駅を利用する人からは「トラブルが起きる以上、閉鎖は仕方がない」「迷惑行為に憤りを感じる」といった声があがっている。(原知恵子、古畑航希)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル