金沢大の二つの学生寮が3月末に廃寮となった。今月7日には、延期が認められて寮に残っていた学生も退去し、60年近い歴史に幕を閉じた。こうした学生寮の廃寮は、金沢大に限らず、全国の国立大学で進む。大学の予算縮小など構造的な変化が主な要因だ。設置基準の緩和もされ、学生の学習環境が悪化するとの指摘もある。
金沢大が廃寮にしたのは、男子寮の「泉(せん)学寮」(金沢市野町5丁目、1965年築)と女子寮の「白梅(はくばい)寮」(同市泉野町2丁目、64年築)。いずれも寮費は月700円。光熱水費やインターネット使用料は学生の負担だが、それらを含めても固定費は月1万円以内に収まるため、経済的に困窮する学生たちの受け皿にもなってきた。
大学がこの2寮の廃寮を決めたのは2019年2月のことだった。理由は「老朽化により、学生の安全の保証が困難になりつつあるため」。廃寮後は、12年と17年に完成した留学生向けの寄宿舎に優先して入居できるとした。ただ、寄宿料は光熱水費込みで月3万円台と3倍以上だった。
昨春ごろから、寮生の一部が廃寮の延期を求める署名活動を始め、大学との対立が表面化した。国会でも取り上げられたが、大学は退寮に応じない学生に処分の可能性を示し、退去日に水道や電気を止める通告を出すなど強硬姿勢を崩さなかった。かつて金沢大の学生寮は3寮あったが、今回ですべてなくなった。
学生寮廃寮 背景に「国立大学の法人化」
寮費の安い学生寮は、各地の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル