新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の水際対策が強化され、入国者による隔離生活も始まった。突然求められた対応に、行政の現場では混乱も生じている。
2日午前に英国から帰国したNGO職員の20代女性は、隔離生活を送るホテルで配給された昼食を見て驚いた。館内放送の案内を受けて扉を開けると、カップ麺と白米が部屋の入り口に置かれていた。時間は午後3時半ごろ。当初伝えられていた配給時間から約3時間が経過していた。
ホテルの部屋には電子レンジがなかったため、冷たい白米を口に運んだ。カップ麺は部屋で湯を沸かしてすすった。同じホテルで隔離生活を過ごす知人からは、浴槽に湯を張り、白米の入った容器ごと温めたと聞いた。
栄養士の資格も持つこの女性は、「税金で出してもらっているのはありがたい」と話す一方、「これが続けば健康管理も難しい」と戸惑いを隠せない。
隔離期間中の入国者の食事を管理しているのは福岡検疫所だ。同検疫所によると、2日からホテルに滞在する入国者の昼食として、豚肉とメンマの中華炒めやコールスローなどが入った弁当が事前に用意されていた。だが、この日は入国者の到着が遅れ、用意していた弁当の消費期限が切れてしまい、急きょカップ麺と白米が配給されたという。
ホテルでの隔離生活では、食物アレルギーや服用中の薬の有無などを事前に届け出る必要がある。この日は40~50人の入所者がいたが、一部に届け出書類の不備が見つかり、全体の入所が遅れてしまったという。
隔離生活を過ごす入国者に弁当を提供する業者は入札で決めており、2日の夕食には野菜炒めやキーマカレー、切り干し大根などが入った弁当が配給された。担当者は「お弁当はカロリーに基づいて発注している。エネルギーやたんぱく質がとれるよう考えている」と話している。(皆木香渚子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル