小学生の頃から性別に違和感
久保さんは小学生の頃から、自身の性別について違和感を抱いていた。 「男の子と遊ぶことよりも女の子と遊ぶのが好きで、自分と他の人は違うと思うようになりました」 関西の中高一貫校に進学すると、学校から男女別の制服が指定されており、自分が男子の制服を着るのが当然とは思えなくなっていた。 「『絶対に男子の制服を着たくない』というわけではなかったです。ただ、なんで自分はズボンと決められているんだろう、女子の制服だったスカートの方がいいのにな、と思っていました」 東京大学に入学後、ジェンダーの授業を受けたことから、自分がトランスジェンダーだと初めて自覚した。しかし当時は、男性として暮らし、男性ばかりのグループに所属。女子学生と仲良く話していることを揶揄(やゆ)されたり、授業前に交わされるアダルトビデオについての話についていけなかったりと、うまくなじめなかった。 「東大は男子学生が8割。当時は男子グループの中で無理してしまいました。親元を離れれれば好きな恰好をして生きられるという思いもあって、一人で上京したのですが、周囲の目を気にしてしまい、精神的に追い詰められてしまいました」 久保さんは大学1年の時、1年間休学した。初めて専門のクリニックを受診して、性同一性障害と診察されたのもこの頃だった。 「それまで『自分はおかしいんじゃないか』と思っていたので、診断を受けて初めて、納得できるようになりました」 復学後にはトランスジェンダーであることを、周囲の友人に打ち明けた。 「すごく緊張していて、正直、友人の反応はあまり覚えていません。ただ戸惑うことなく『そうなんだね』と素直に認めてくれて、ただただ安堵したことを覚えています」 久保さんは生まれて初めて、髪も伸ばし、ユニセックスやレディース向けの服を身に着けるようになった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース