高尾山の山頂付近で心肺停止に陥った男性登山客を救ったのは、居合わせた登山客ら10人の連係プレーだった――。東京消防庁八王子消防署は、救命に協力した東京都自然保護指導員の田畑真悠さん(38)らに感謝状を贈った。救急隊員の到着まで時間を要する山頂で、10人はどう動いたのか。
署によると、9月30日午後0時半ごろ、登山中だった60代の男性が山頂付近で崩れ落ちるように倒れた。
「人が倒れている!」。居合わせた男性がまず、山頂のビジターセンターに駆け込んだ。田畑さんはそこにいた。すぐに職員が119番通報した。この間、登山客とみられる女性2人が心臓マッサージを続けた。数分後、田畑さんらが自動体外式除細動器(AED)を持って駆けつけた。男性に4回電気ショックを与え、数人が交代で心臓マッサージを繰り返した。
消防隊員が到着したのは通報から約20分後。それまでに男性の心拍と呼吸は回復していた。同庁によると、救急車が現場に到着するまでの平均時間は約7分。今回はふもとから山頂まで上がる時間がかかったため、周囲の迅速な対応がより重要だった。
発見直後に通報可能な場所へ駆け込む、心臓マッサージを続ける、AEDを確保して的確に使う――。こんな人のつながりが、命を救った。田畑さんは定期的に救命講習を受けていたといい、「お互いに声をかけながらできることをやった。1人ではできない素早い処置ができた」と話した。
八王子消防署は10月30日、救命に関わった10人のうち、辞退者などをのぞく5人を表彰。心臓マッサージをした女性2人は見つかっておらず、同署が探している。(加藤あず佐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル