大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名偽造事件で、愛知県警がリコール運動団体会長の美容外科経営、高須克弥氏(76)の女性秘書(68)と50代女性を地方自治法違反(署名偽造)容疑で書類送検していたことが15日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、秘書らは運動団体事務局長の田中孝博被告(60)=同法違反罪で公判中=と共謀。昨年10月ごろ、愛知県内で、有権者数人の氏名を署名用紙に記入し、偽造した疑いがある。
これまでに起訴された事件は、田中被告と次男(29)らが佐賀市でアルバイト3人に71筆分の署名を偽造させたというもの。愛知県内での偽造容疑での立件は初めて。
進む公判、高須氏の調書は?
リコール署名偽造事件で、地方自治法違反罪に問われた被告3人のうち、1人に対する論告求刑公判が17日にある。
「民主主義への挑戦」とも言われた出来事の全容解明が期待される審理だが、首をかしげる関係者が少なくない。リコール運動団体のトップだった美容外科経営、高須氏の供述が明らかになっていないからだ。
捜査は尽くされたのか。
被告は、田中孝博被告と次男、広告関連会社の元社長(39)。元社長の審理が先行し、検察側は先月、名古屋地裁であった初公判で関係者の供述調書など180件を超える証拠の要旨を説明した。高須氏の調書はなかった。
事件に関わった男性は「田中被告の活動を資金面で支えたのが高須氏ではないか」と話す。運動団体の収支報告によると、高須氏は1200万円を運動団体に貸し付け、150万円を寄付した。全収入の5分の1を占める。「高須氏の調書がないのは、どうみてもおかしい」と話す。
37人の「請求代表者」に名を連ねた別の男性は、3日間にわたり検察の聴取に応じた。協力する責務があると考えたからで、「トップだった高須氏がどう考えているのか聞きたい。公判でそれが明らかにならないのは残念」と言う。
調書を作成しても検察が証拠提出しないこともある。そもそも事情聴取はあったのか。高須氏側は取材に、聴取を受けていないとする。一方、捜査関係者の口は重い。
県警は高須氏の関連会社を家宅捜索しており、高須氏から運動団体への資金の流れなどを調べたとみられる。
捜査当局からは「高須氏の関…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル