新型コロナウイルス感染拡大を受け、10万円の一律給付などの緊急経済対策を盛り込んだ2020年度補正予算案を政府が国会に提出した27日、早くも千葉県市川市が10万円支給のための市独自の申請受付を開始した。手続き開始は熊本県産山(うぶやま)村とともに全国で最も早い。同村は同日、全647世帯に申請書類を郵送、早ければ30日に支給する。北海道東川町では金融機関と協力する形で、28日にも全国最速の支給が見込まれる。
生活に困っている人のため、国に先駆けて市川市が動いた。
10万円の「特別定額給付金」は27日の時点で住民基本台帳に記載がある人を対象に支給される。そのため市川市は同日に申請受付を開始。独自の取り組みで、市の公式サイトから申請書をダウンロードして必要事項を記入、身分証明書のコピーを添付して郵送で申し込む。「3密」防止で窓口への持参は受け付けず、申請書は早ければ、28日に市役所に届く。
市川市民の反応も早かった。市のコールセンターなどには電話が約20回線あるが、一時つながらない状態に。コールセンターには27日午後5時までに約170件の問い合わせがあった。「ここまで反響があるとは」と特別定額給付金課の担当者は驚きを隠さなかった。
補正予算成立前の全国最速の対応には秘密がある。自治体は、住民基本台帳を元に申請書に名前や住所などを印刷して住民に郵送する。住民は振込先の口座を記入して送り返せばいい。しかし、この事務には人口が多い自治体では時間がかかり、約49万人が住む市川市は申請書の送付開始が5月末と見込む。
「一日も早く支給したいとの村越祐民市長の意向もあって」(市関係者)、申請書への住所などの印刷と発送作業を省き、申請者が自らダウンロードして住所などを記入してもらうことで時間を大幅にカットした。
財源も工夫した。補正予算が成立して国から補助金が市に振り込まれる前に、市の基金から立て替えることで、早ければ5月15日頃に10万円を振り込めるという。
急ぎではない人やダウンロードなどができない人には、住所などが印刷された本来の申請書を郵送し、記入後に送り返してもらう。マイナンバーカードを使ったオンライン申請もできるが「まだシステム構築中」(総務省)で、開始は大型連休後の見通しだ。
国に比べ、小回りが利く利点を生かした市川市には「国の対応が定まらない中で、しっかりと(申請受付を)始めて助かる」などと感謝の声が寄せられているという。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース