有料記事 近藤咲子 鳥尾祐太2024年2月10日 12時00分 2016年の障害者差別解消法施行に伴い、公立高校入試で障害がある受験生に試験時間延長といった受験上の配慮を認める動きが広がっている。こうした受験生の進路の選択肢が増える一方で、学校側は他の受験生との公平性の確保にも腐心している。 認められた1.5倍の試験時間 9日、千葉市の公立中学校に通う3年の男子生徒(15)のもとに志望する千葉県の公立高校から、20、21日の入試で1.5倍の試験時間の延長などを認める通知が届いた。県内の公立高ではこれまで1.3倍の延長しか実績がなく、生徒は1月、1.5倍の延長を求め署名約1600筆を県教育長に提出していた。 男子生徒は脳性まひにより手に力が入りにくく、解答の記入に時間がかかる。事情を踏まえ、中学校では定期考査で1.5倍の時間延長を認められている。 入試時間について昨夏から両親らと複数回、県教育委員会に事情を説明し、延長について相談した。県教委側は「1.3倍しか実績が無い」と回答していたが、中学の校長とも協議するなどし、最終的に別室受験や介助者の同行などに加えて、1.5倍の延長も認めた。担当者は「中学での実績や、提出された医師の診断書の内容などを総合的に判断した」と理由を述べた。 障害者差別解消法では、障害者の社会的障壁を除去するために行政機関に対し合理的な配慮の提供を義務づけている。文部科学省は同法施行前の15年、公立高入試で別室受験や時間延長など合理的な配慮を例示した対応指針を示し、都道府県教委に対応を求めていた。 指針を受け、千葉県は、受験生から申請を受けた高校の校長が中学校側や県教委と協議し、配慮を実施するか決定するといった規定を設けた。 障害がある公立高の受験生に対し、配慮を実施した全国の学校数は2016年に比べて、2023年には倍以上になりました。学校側は前例も参考に個別対応しています。中には利き手の骨折で時間延長を認めたケースも。その理由とは。 文科省によると、公立高入試… この記事は有料記事です。残り836文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
27歳が喫茶店を継いだら、若い世代の客が… レトロな店の起死回生
京急鶴見駅(横浜市鶴見区)のすぐそばに1975年創業の古い喫茶店がある。珈琲(コーヒー)専門店「山百合(やまゆり)」。一時休業していたが、2年前に元小学校教諭の慶野未来(けいのみく)さん(27)が2代目店主に就き、再び営業が始まった。「喫茶店文化を残したい」。背中を押したのはそんな思いだった。 席数は25ほど。小さな店内の壁には手書きのメニューが貼られ、昭和にタイムスリップしたようなレトロな雰囲気が広がる。 自慢のコーヒーは慶野さんがサイホンを使い、丁寧にいれていく。人気のナポリタンは、横浜市民の有志が結成した「日本ナポリタン学会」にも認定された一品だ。 全国で喫茶店の廃業が相次ぐなか、山百合もまた、後継者が見つからず、休業が続いていた。 「廃業しそうな喫茶店を継いでほしい」 「見るだけでも」と店を訪れたところ 慶野さんはそんな話を聞いて… この記事は有料記事です。残り783文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
能登半島地震で起こったこと そして私たちはどうすれば 識者に聞く
能登半島地震では、様々な事情や理由から、自治体があらかじめ定める「指定避難所」ではなく、近所の集会所などを自分たちで「自主避難所」にして生活する被災者が多くいます。今後の大災害に備えて、私たちは避難先をどう考えればいいのでしょうか。災害時の避難行動に詳しい京都大防災研究所の矢守克也教授=防災心理学=に聞きました。 ――能登半島地震では、たくさんの被災者が集会所などに自主的に避難所を作りました 私も現地にいたら、そうしたと思います。 2016年の熊本地震では、義母が被災しました。心臓病を含めて複数の持病があるため、指定避難所には行かないほうがいいと電話で指示し、発生から約24時間後に迎えに行きました。 私が到着するまで、義母は近隣の方々などの協力を得て安全な場所を求め、①近所の住民の車内、②近隣の大規模商業施設内に設けられたテント、③ホテルが開放した広間、④私立高校の武道場――と4カ所を巡り、それぞれ数時間ずつ過ごしました。 これは決して、例外的なケースではなかったはずです。被災者は生きるために少しでもよい環境を見つけようと、できることは何でもします。これからの災害でも、同様のことは必ず起きます。 自治体があらかじめ指定した避難所にだけ被災者が来る――というストーリーは、現実的ではありません。 逆に、今回の地震でそうだったように、今後の災害では、帰宅困難者や外国人観光客など、行政側が来るとは思っていなかった被災者が指定避難所に大量に押し寄せることも大いにありえます。 ――自治体は自主避難所から、指定避難所や、ホテルなどの2次避難所に移るよう促しました 避難場所や避難生活のあり方は、非常に複線的です。自治体は、避難生活は「各地区ごとに指定避難所で」といったこれまでの原則を見直し、「多様な避難先(分散避難)」に対応するよう、かじを切るべきです。 ――行政ができる「分散避難」の備えはありますか まず、「分散避難は当然起こる」という認識が必要です。 例えば、京都府福知山市では指定避難所とは別に、地区避難所という「地域の判断で開設し、運営する施設」をあらかじめ定めています。 自治体がマネジメントする「指定避難所」とは別に、地区避難所のように、住民に任せるけど自治体側もあらかじめ存在を把握しておく、「準指定避難所」というカテゴリーを作ってはどうでしょうか。 さらに、自治体の想定以上に独自に避難所や避難先ができることを念頭に、情報収集ができる仕組みを用意すべきです。 熊本地震では、住民の避難先を特定するため、携帯電話の通信記録から、人が多く集まっている空き地や駐車場などを調査する試みがありました。在宅避難者や広域避難者からの情報を、自治体側に報知できるWEBシステムを導入することも有用でしょう。 避難所の運営についても、市町村単位で考えていては、今後予想される南海トラフ巨大地震のような大規模災害には対応できません。広域的に対応する仕組みに少しずつ変更することが、帰宅困難者や観光客らへの対策としてもきわめて重要です。 ――私たちができる備えはありますか 指定避難所ではない避難所や避難先には、小規模な自治体だと、災害時に支援物資などのケアが行き届かない可能性があります。 私たち住民側も、「避難先は自分たちで模索しておくべきもの」という覚悟や準備が必要ではないでしょうか。友人宅や親戚宅、勤務先、ホテル・旅館など多様な可能性を模索して、普段から「シミュレーションお泊まり」をしても良いでしょう。(聞き手・島脇健史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「不登校特例校」、県立高に全国初の設置へ 柔軟なカリキュラム特徴
福岡県は新年度から、不登校の生徒が特別なカリキュラムで学べる「不登校特例校」(学びの多様化学校)を全国で初めて、県立高校に設置することを決めた。新年度予算案に約1225万円を計上、子どもたちに多様な学びの場を提供することをめざす。 不登校特例校は、文部科学省の指定を受け、通常より授業の時間数を減らしたり、体験学習を増やしたりするなど、不登校の生徒に合わせて柔軟なカリキュラムが組める。 国が全国に300校設けることを目標としており、現在は全国に24校ある。昨年8月に、学びの多様化学校へと名称を変えている。 九州では鹿児島県日置市に高校生向けの私立校があるなど、公立小中や私立校にはあるが、公立高校はまだ無い。大阪府も府立高校を設置する方針を示している。 福岡市は、25年度中にも、中学生のための不登校特例校を開校する方針を明らかにしている。 服部誠太郎知事は今年度予算から「1000億円の人づくり」という柱を掲げ、人への投資を重視している。新年度予算案では、この柱のもと、新たに「将来を守るサステナブル社会への改新」を据えた。不登校特例校の設置は、目玉政策の一つとなりそうだ。 県は総額2兆1321億円にのぼる新年度一般会計当初予算案を、22日開会の定例県議会に提案する。 トラック運転手の不足が懸念… この記事は有料記事です。残り127文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「地震は大丈夫」つないだ電話のそばで父は 悪路越えて息子は叫んだ
山間に田園が広がる石川県輪島市町野町の川西地区。山崎良治さん(87)は1月1日、同居する長男夫婦を市内の親類宅へと送り出した。 2階建ての家は約50年前、腕利きの大工だった山崎さんが自分で建てた。長年一緒に暮らした妻には昨春先立たれた。一人きりの留守番だった。 1度目の地震の後、関東地方にいる長女が心配して実家に電話をかけた。「大丈夫だ」。山崎さんはそう答えたが、まもなく音声が途絶えた。 外出先で地震に襲われた長男… この記事は有料記事です。残り507文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【マンガ動画】きっかけは居酒屋から グラスの厚さで味が変わる謎
2024年2月10日 11時00分 【マンガ動画】中身の飲み物は味が同じなのに、グラスを口につけた感覚で味が変わるらしいです。 同じ形のグラスでも、飲み口の厚さが異なると飲み物の味が変わる可能性があるという研究が発表されました。居酒屋での会話がきっかけで、「ビールは薄いグラスの方がおいしく感じるのでは?」という仮説が研究されることになりました。客の満足度を高めるために、飲み物に合わせてグラスを変えてみるのも良いかもしれません。詳しい解説は動画でご覧いただけます。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
和倉温泉郷の職人らが避難先に結集 「いまの自分にできること」
「季節感あってええな、菜の花。彩りあるし喜んでくれるかいな」 能登半島地震で断水が続く和倉温泉郷(石川県七尾市)の集会所。30人が身を寄せていた自主避難先で1月30日、このまちの料理人たちが、夕食の仕込みをしながら談笑していた。 菜の花のおひたしに、野菜や里芋が入った豚汁……。避難所に甘い香りが漂い、湯気が上がる。 「栄養がとれて、体が温まる。気持ちが和みます」。避難生活を送る清水歌子さん(72)は、豚汁を口にしてほっとした様子を見せた。 集会所には全国から寄せられた支援物資のパンや即席麺、お菓子が並ぶ。ただ、清水さんは「やっぱり毎日同じだと偏ってね。炊き出しに感謝です」。 すし職人に中華料理人、指圧師らが次々と この集会所と近くの小学校で… この記事は有料記事です。残り633文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入浴支援を受けた30代男性が全身やけど 職員が温度測らず高温に?
島脇健史2024年2月10日 8時04分 大阪府茨木市の市立障害者生活支援センター「ともしび園」に通う市内の30代男性が、職員から入浴の支援を受けた際に重度の全身やけどを負ったと、市が9日発表した。同園は、市が社会福祉法人「とんぼ福祉会」(茨木市)に指定管理で運営を任せている。市が原因を調査中で、同会の処分を今後検討する。 市によると、男性は5日午後2時ごろ、ストレッチャーに横たわったまま、機械を使って入浴する支援を受けた。入浴後、男性の全身が真っ赤になっていたことから、園側が119番通報。男性は体表の85%にあたる首から下の全身にやけどを負い、病院の集中治療室で治療を受けている。 園の職員は温度計で測って40~42度でお湯を張り、5~10分間入浴させるマニュアルだった。だが、実際には職員は温度を測っておらず、マニュアルの設定より高温だった可能性があるという。 男性の入浴支援は職員2人が担当していた。入浴中は派遣職員が見守っていたが、正規職員は別室の更衣室で入浴後の準備をしており、その場を離れていたという。男性は自分の言葉で意思伝達するのが難しく、入浴中も「熱い」などと伝えられなかったとみられる。 園は現在、入浴支援を中止している。市の担当者は「被害者に深くおわび申し上げる。原因を調査し、再発防止に努める」と話す。(島脇健史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
倉庫に3日間居座ったクマ、ついに捕獲 今冬異例の目撃数記録の秋田
2024年2月10日 8時15分 秋田市御所野湯本6丁目の運送会社の倉庫内に、6日からクマ1頭が居座り続けた。9日午前5時すぎ、市などが倉庫内に仕掛けた箱わなにクマが入っているのを確認し、捕獲された。けが人はいない。 秋田東署などによると、クマは体長約1メートル。6日昼前に、倉庫内で作業をしていた男性が目撃して通報した。7日にわなを仕掛けたがクマは寄りつかず、8日には吹き矢で麻酔をかけて捕獲しようとファイバースコープで倉庫内を捜索したが、クマは見つからなかった。 県によると、今年に入り県内のクマの目撃は1月末現在で計15件。クマは冬眠に入るため、例年だと1、2月合わせても目撃は数件程度にとどまり、今冬は異例という。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「誰が、なぜ?」模試の誤答→正答に書き換え 佐賀有数の進学校
三ツ木勝巳2024年2月9日 20時20分 佐賀県で1月に行われた県下一斉模擬試験をめぐり、県立佐賀西高校(佐賀市)で2年生4人の誤った解答が、正答に書き換えられていたことが分かった。同校は生徒と教員から聞き取り調査を行ったが、関与した人物などは分からなかったという。 同校によると、模試は先月6、7日に行われ、2年生は約280人全員が対象だった。10日に答案を返却したところ、1人が1教科の答案について「自分が解答した状態に手が加えられている形で採点されている」と申し出た。確認をしたところ、さらに同じ教科でこのクラスの3人の答案が、同様に書き換えられていたことが判明したという。 採点は、教科を担当する教員が執務室で行ったが、採点途中で鍵をかけずに部屋を出ることがあったという。同校では、答案に近づく可能性があった教員4人と生徒34人に事情を聴いたが、書き換えに関する情報は得られなかった。 佐賀西高校は、県内有数の進学校。この模試は、生徒の学習到達度をみるもので、学校での成績には反映しないという。同校では、今後について県教委と相談しながら対応を考えるとしている。野村弘文副校長は「誰がどういう目的でやったかわからないが、答案の管理について不適正な点があった。今後は答案管理の適正化を徹底し、再発防止を図る」と話した。(三ツ木勝巳) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル