「すみません」「私が悪かったです」――。自民党安倍派の政治資金パーティー収入をめぐる事件。4355万円を自身の政治団体の収支報告書に寄付として記載しなかったとして略式起訴された谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区、自民党離党=は22日、議員辞職願を衆院議長宛てに提出した。地元・長崎県大村市で開いた会見では謝罪の言葉を繰り返しつつ、「辞めたのが私の責任の取り方」と詳細は語らなかった。 「自身の認識の甘さがあったと深く反省しています。支援者、国民の皆さまに深くおわびします」 22日午後4時。久しぶりに報道陣の前に姿を見せた谷川氏は会見の冒頭、そう語ると深々と頭を下げた。略式起訴された内容については、「認めています」と語り、違反をした理由について問われると、「あえて言うなら全て私の認識の甘さ。全て私の責任です」と述べた。 だが、派閥からの指示など具体的なやりとりについて問われると、「今から県が抱えた課題について、国会議員が政治活動をしていく。それにマイナスの可能性があることは一切答えません」と言い切った。 ■これまでの仕事に自負も… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】七尾市の水道復旧、6割は4月以降 地域経済の悪化懸念
1月1日夕に起きた能登半島地震。深刻な被害の状況が少しずつ明らかになるとともに、多くの人が避難生活を続けています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月22日■■■ 17:20 災害廃棄物処理で国負担を引き上げ 総務相 松本剛明総務相が能登半島地震で被災した七尾市、内灘町を視察後、金沢市内で取材に応じた。 被災地で懸案となっている災害廃棄物について、自治体が処理を進めやすくするために、国の費用負担分を引き上げることを明らかにした。通常は、地方が負担する費用のうち80%について交付税措置をとっているが、95%にする。総務省によると、2016年にあった熊本地震と同様の対応だという。 14:00 七尾市の水道復旧、6割は4月以降 能登半島地震の影響で断水が続いている石川県七尾市は、市内の6割を超える世帯で水道復旧が4月以降になるとの見通しを明らかにした。断水による地域経済の悪化が懸念されており、茶谷義隆市長は会見で、個人事業者などを対象に「経済的支援も検討したい」と話した。 市によると、全世帯2万1779戸のうち21日時点で水道が使える世帯は5031戸(23・1%)。3月末まででも8152戸(37・4%)しか使えない見通しで、井戸水などが使える世帯を除いた1万3122戸(60・3%)の復旧は4月以降になりそうだという。 10:30 日中韓のアニメや食文化の振興事業中止 馳知事が発表 馳浩・石川県知事は記者会見で、七尾市を中心に今年1月から「アニメ・マンガ」「音楽」「美術」「食文化」を柱に展開する予定だった「東アジア文化都市」事業を中止すると発表した。日本、中国、韓国の文化芸術に関する取り組みで、盛山正仁・文部科学相の了解を得たという。能登復興イベントとして数年後の開催をめざす。 また、「復興生活再建支援チーム」を23日に発足させることも明らかにした。被災者の避難生活の改善や中長期的な生活再建、復興への企画立案などをする。馳知事は、「被災された数万人の方々ひとり一人の要望に応え、目標を示しながら創造的復興のため進んでいきたい」と述べた。 05:03 JR七尾線の羽咋―七尾間が再開 能登半島地震で大きな被害を受け、運転をとりやめていた石川県のJR七尾線羽咋(はくい)―七尾間(24・7キロ)が再開した。通勤・通学客の多い金沢―七尾間(65・9キロ)が再びつながった。 ■■■1月21日■■■ 15:00 農水相「隆起の問題、大きな課題」 坂本哲志農林水産相が石川県・能登半島の被災の状況をヘリで視察した。視察したのは、地盤隆起で漁港の役割を果たせなくなっている鹿磯漁港(輪島市)や狼煙(のろし)漁港(珠洲市)、地割れが起きている「白米の千枚田」(輪島市)など5カ所。 取材に対し、「考えていた以上の大変な被害で、あらためて様々な調査をして今後の対応策を考えていかなければいけない」と話した。「隆起の問題にどう取り組むかというのは大きな課題。東日本大震災でも隆起というものを体験していない」とも述べ、専門家の意見も踏まえて被災した港に対応する方針を示した。 09:00 復旧・復興の財源めぐり与野党幹部が議論 与野党7党の幹事長・書記局長らがNHKの討論番組に出演し、能登半島地震からの復旧・復興について議論した。 政府は復旧・復興費用の財源として、来年度当初予算案の「予備費」を5千億円積み増し、計1兆円を計上。自民党の茂木敏充幹事長は「まず、この中でしっかりと速やかに対応することが重要だ」と述べた。 立憲民主党の岡田克也幹事長は「単に元に戻せばいいということではない。(復興の)ビジョンを国会で議論しながら、補正予算を作っていくことが大事」と強調。国民民主党の古川元久国会対策委員長も早期の補正予算案の編成を求めた。公明党の石井啓一幹事長は「状況に応じて補正予算は検討していくべきだ」と述べたが、茂木氏は「予算の問題でちゅうちょすることなく、必要な対策を現場で打ってもらう。安心感を与えながら復興を進めていきたい」と述べるにとどめた。 ■■■1月20日■■■ 10:00 輪島市、一部地域で学校が再開へ 輪島市は20日、市西部の門前地区にある小学校と中学校計3校に通う約80人を対象に、24日から学校を再開すると発表した。当面は門前東小で午前9時~正午に受け入れるという。市東部の町野地区についても1月下旬からの受け入れを検討しているが、中心部は「調整中」としている。 市によると、校舎の応急危険度判定を踏まえた判断といい、学校内の空いたスペースを活用して児童らが集う場所を確保する。通常の授業は行えないが、小川正教育長は「子どもたちに顔を合わせる機会を早急に作ってあげたい。保護者についても子どもが学校に集うことで安心して復旧復興あるいは仕事に向かってほしいという思いから」と狙いを説明した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安倍派でトップ級、谷川弥一氏の集金力の源泉は…九州大手の建設会社
「金を集める力は、政治家にとって偉くなるために必要なことだと思っていた」。22日、衆院議長に議員辞職願を提出した後、会見で赤裸々に語った谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区、自民党を離党。安倍派でも有数の集金力の源泉はどこにあったのか。 谷川氏は会見の中で「会社がなかったら集めることができなかった」と明かした。 会社とは、谷川氏が1971年に創業し、グループで売上高300億円超の九州有数の住宅メーカーに育てた谷川建設(長崎市)のことだ。 10年前、自ら作った「金が集まるシステム」 元秘書は朝日新聞の取材に「… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「競馬に使った」電鉄子会社元課長を横領容疑で逮捕 被害4億円超
長野県警長野中央署などは22日、勤め先の会社の預金約1320万円を不正に流用したとして長野電鉄の子会社「長電建設」(長野市)の元総務課長、小沼義博容疑者(53)を業務上横領容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 同署などによると、小沼容疑者は2022年8月下旬、同社の預金口座から約1320万円を自身が管理する別口座に振り込み横領した疑いがある。 同社によると、14年11月~22年9月に架空の請求書を偽造するなどして計約4億6600万円が引き出される被害が明らかになっているという。同署によると、小沼容疑者は流用した金を競馬などのギャンブルに使っていたといい、残りの被害についても調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
200棟以上、焼け焦げたまま残る街 ドローンで見た「輪島朝市」
【動画】火災の傷痕が生々しく残る「輪島朝市」=ドローンで小宮路勝、長島一浩撮影 最大震度7を観測した能登半島地震の発生から3週間が経った22日、大規模火災で焼失した石川県輪島市中心部の観光名所「輪島朝市」を、関係機関の許可を得てドローンで撮影した。上空から見ると、曇り空の下には、黒く焼け焦げた街並みが広がっていた。 大半の建物はコンクリートの基礎部分だけとなり、残ったビルも壁がなかったり、屋根が崩れ落ちたりしていた。多くの車両がサビ色に焦げていた。200棟以上が焼けた跡は依然、生々しいままで残っている。 火災現場一帯での行方不明者の集中捜索は、19日にいったん終了している。(長島一浩、小宮路勝) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
増える障害のある大学生、支援の考え方まとめる 文科省の有識者会議
改正障害者差別解消法が4月に施行されるのを前に、文部科学省の有識者会議は22日、障害のある大学生らの修学支援に必要な考え方や事項についてまとめた報告書の案を、大筋で了承した。改正法施行を受け、これまで国公立大で義務化されていた障害のある学生への合理的配慮の提供が、私立大でも義務化される。 障害がある学生は増えている。日本学生支援機構の調べでは、2022年度は約5万人で、全大学生(短大生、高専生を含む)の1・5%にあたる。この10年で約3・7倍に増えた。全大学の8割で障害のある学生が在籍しているという。 報告書は、障害は障害者個人にあるのではなく、社会の側にあるという「障害の社会モデル」の考えを、構成員全員が理解した上で取り組むことが必要と指摘した。また、合理的配慮を受けるための「条件」として根拠資料を求めないことや、学生と建設的な対話をして柔軟に配慮内容を決めることなども盛り込まれた。(山本知佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
La mission japonaise SLIM pourrait être relancée, après l’extinction de l’alimentation électrique
L’agence spatiale japonaise (JAXA) a annoncé lundi 22 janvier avoir éteint l’alimentation électrique de son module SLIM moins de trois heures après son alunissage historique de samedi, afin d’économiser ses batteries en vue d’un possible redémarrage. Il existe une « possibilité » que le module japonais SLIM, qui a rencontré un problème de […]
「こっちは余裕ねえんだ」 全財産5万7千円を手に京アニへ向かった
青葉真司被告(45)は2019年6月、包丁6本を持ってJR大宮駅(さいたま市)の西口に自転車で向かった。 新幹線のほか、高崎線や京浜東北線、埼京線などが行き交う駅で、1日の乗車人数は約22万6千人。JR東日本の管内では、品川駅に次ぐ第7位の多さだ。 西口は地上の駅前広場の上に歩行者デッキがあり、通勤客や学生、買い物客、各種募金活動やギターの弾き語りをする人らで混み合う。 青葉被告が公判で語った計画では、08年に東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件を参考に、「最低限必要なのは鋭い刃物ということで、当日に6本購入した」という。しかし、「大宮程度の人の密集では、刺したとしてもすぐに驚かれて逃げられることが分かっていたので」断念したという。 計画した理由について公判で、京アニに自身の小説作品を落選させ、盗用させたのは「闇の人物のナンバー2」だと考えた、と自身が抱いた妄想について繰り返し説明。「ナンバー2や京アニに対するメッセージ性を込めた犯罪をしないと、逃れることができないと思った」とも述べた。 青葉被告の話では、「ナンバー2」とは「ハリウッドやシリコンバレーに人脈があり、世界で動いている。官僚にも影響力のあるフィクサーみたいな人で、公安警察に指示して自分を監視させていた」という。 「(経済財政担当大臣時代の)与謝野馨大臣にメールを送ったのが原因で、つけ回されるようになった」とも説明した。 さらに、事件を起こすことで「パクり(盗用)は害だ、ということを伝えられるのではないか」と考えた、とも語った。 「つっかえ棒がなくなったら倒れるしかない」 青葉被告が言う「パクり」とは何のことか。 16年、自身の楽しかった時期の思い出を詰め込んだ「分身」とも言うべき長編と短編の小説2作品を「京アニ大賞」に応募したものの落選した。 ところが18年11月、京アニ作品の「ツルネ」をテレビで偶然見ていて、自分が小説に盛り込んだアイデアが盗用されたと思った。 それは、割り引き食品を買うシーンだった。 過去にも2度、京アニに盗用… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
遺族「青葉被告は二度、更生に失敗した」 事件繰り返さないために
殺人事件として戦後最悪とみられる犠牲者を出した事件から4年半。現在、京都アニメーション第1スタジオは解体され、背の高いフェンスで囲われている。 昨年12月初旬、事件現場を訪れると、敷地に設けられた花壇に小さなガーデンシクラメンや色とりどりのビオラが咲いていた。 3カ月間にわたって22回続いた裁判員裁判が結審を迎えた日、青葉真司被告(45)は青色のジャージー姿で、車いすを職員に押されて入廷。計約1時間半にわたった検察側の論告と弁護側の最終弁論をじっと聞いた。 検察側は死刑を求刑した。青葉被告が事前にガソリンを購入するなどの犯行の準備をしたことや、事件の直前に現場近くの路地で十数分間考え込んでいたこと、懸命に働く従業員を目にしたことなどを指摘し、「引き返すタイミングはいくらでもあったのに実行した。強固な殺意を犯行まで抱き続けた」と主張した。 犯行の動機として、書き上げた「最高のシナリオ」が京アニ大賞に落選し、小説家として身を立てるという夢に破れたことで、うまくいかない人生の責任を京アニらに転嫁したとし、「筋違いの恨みこそが犯行動機の本質。理不尽そのもので身勝手極まりないものだ」と指摘した。 被告自身が公判の当初から繰り返し述べた妄想についても、解釈が添えられた。 「『京アニらに盗用された』という妄想が、動機の形成に影響を与えた」としつつ、「その妄想は、猜疑(さいぎ)的・他責的なパーソナリティーを持つ被告が、筋違いの恨みを強化させた程度で、影響程度は限定的」と訴えた。 一方の弁護側は、「心神喪失で無罪、あるいは無罪でないとしても心神耗弱で減刑すべきだ」として、死刑の回避を主張した。 妄想が与えた影響について検察側とは異なる見解を示した。 「事件当時は長期にわたって妄想性障害に苦しめられ、事件前4カ月間は服薬もせず、新たな妄想や幻聴が生まれ続けている状態だった」とし、「闇の人物と京アニが一体となって自分に嫌がらせをしていると思い、対抗手段として事件を起こした」と訴えた。 さらに裁判員らに対し、「青葉さんは順風満帆とは言えない人生を歩み、最終的には最悪の分岐点を選んだ。病気の影響も受けた。ご遺族の処罰感情は十分くみとられるべきだが、青葉さんには改善の可能性がある」と呼びかけた。 公判が結審したこの日、京アニ作品「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」のキャラクターデザインを手がけた池田(本名・寺脇)晶子(しょうこ)さん(当時44)の夫(51)も法廷に立った。 「青葉さんは強盗などの前科を重ねたあと更生施設に入所し、その後は生活保護を受給するなど、公的ケアにアクセスできていながら、訪問看護など救いの手を自ら拒絶しました。一度ならず二度、更生に失敗しているという事実は決して過小評価すべきではありません。本当によく考えてください。更生に失敗した結果として、36人の命が筆舌に尽くしがたく理不尽に失われました」 ◇ 青葉被告個人が引き起こしたこととして、この事件は片付けられてよいのだろうか……。裁判の傍聴を続けるうちに、そんな思いが募りました。私たちが暮らすこの社会で、青葉被告はつながりを求めながらも保てず、何度もやり直そうとしました。だからこそ、私たち一人ひとりの課題として、青葉被告の半生に思いをめぐらせることが大切だと思いました。 再びこうした事件を起こさないために社会に何ができるのか。続く第2部では、識者とともに考えていきます。 (第1部おわり) 連載「螺旋」第2部は、22日8時に配信予定です。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
突然の「被災自治体」、高まる職員の負荷 行政版DMATで支援を
能登半島地震の発生から約124時間後、石川県珠洲市の倒壊した家屋から高齢女性が救出された。そこに立ち会った医師の稲葉基高さんは、NGOピースウィンズ・ジャパンの「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」プロジェクトリーダーとして現地に赴いていた。国内外の災害現場で支援にあたってきた稲葉さんに、能登半島地震で見えた災害支援の課題を聞いた。 ――能登半島地震の被災地では、どのような活動をしましたか。 「ピースウィンズ・ジャパンは、国内外の災害被災地や紛争地で人道支援にあたる国際NGOです。私はその一員として、1月2日から石川県珠洲市で活動しました。避難所のトイレを清掃したり、臨時診療所を立ち上げて診察をしたり、自宅にいる人を訪問診療したりしました。13日にいったん被災地を出ています」 ――6日に、警視庁や消防の救助隊とともに倒壊家屋から高齢女性を救出しました。 「体を長時間圧迫された状態から解放された際に起きる(腎不全やショック症状を引き起こす)クラッシュ症候群にならないよう、点滴で水分と栄養を補給しながらの救出でした。警察、消防、私たちのような医療関係者は、災害が起きるかどうかわからない時から救助の訓練をしています。連携して救助できたのはその成果だと思います」 ――医療関係者間の連携はどうでしたか。 「これまでの災害の反省を踏まえて協力体制がかなり改善したと思います。DMAT(災害派遣医療チーム)や日本赤十字社、私たちのようなNGOの協力です」 「過去の災害の被災地では、特に発生後2~3日の超急性期は、官と民の協働が難しいことがありました。けれども昨年の政府主催の訓練では、ピースウィンズ・ジャパンが所有する災害用のヘリや船も動かし、その船をDMATと一緒に活用する模擬訓練をしました。民間との協働に対して、官のアレルギーが少なくなってきたと思います。NGOで働きながらDMATの研修講師もしている私のような人間が架け橋になって、官民それぞれの強いところを生かし、弱いところを補い合えればいいと思っています」 「ヘリコプターの運用も、これまでは行政や支援者間の縦割りの中でなかなか協力ができなかったのですが、今回は有機的に協働できました。転院患者が20人いるとしたら、自衛隊のヘリ、ドクターヘリ、民間ヘリで分担して搬送することができました」 職員はむちゃくちゃがんばっている ――被災地への地理的なアクセスが困難な中、ヘリが活躍しました。今後も山間部で災害が起きることを想定するなら、ヘリがもっと必要なのでしょうか。 「自衛隊や海上保安庁、消防、警察、民間が所有しているものを合わせれば、日本の広さに対して、ヘリ自体はたくさんあります。航空業界のパイロット不足は深刻ですが」 「問題は、今あるヘリをどう運用するかです。出動の要請があれば自衛隊も消防も動けるのですが、市町村の現場で動く人が、どこでどんな支援をして欲しいか、状況を把握して声を上げる必要があります。被災して市町村の機能がまひすると、いくらヘリがあってもうまく使えないのです」 ――被災自治体はどのような状況でしょうか。 「能登半島はもともと自治体の規模が小さい上に、被災により登庁できる職員が少ない。職員自身が被災しながら、重要な意思決定や国・県との折衝、支援物資の配布など実務を担っています。突然『被災自治体』を運営する立場になるわけですから、うまくできないのが当たり前です。でも市の職員はみなさんむちゃくちゃがんばっていました。ずっと寝ずに、熱が出て倒れて隔離されても、そのまま指示を出し続けて。被災者に非常に負荷がかかっているのです」 「医療では、阪神・淡路大震災の教訓でDMATができ、官民の協働も進んできましたが、他の領域は相変わらず地元市町村任せだと感じます。もちろん近隣県の職員の応援はありますが、さまざまな決定をするのは地元職員です」 ――今回、特に自治体への負荷の大きさを感じたということでしょうか。 「これまでの大災害と比べても、困難が浮き彫りになりました。熊本地震の被災地と比べても市や町の職員の数が少ないなど、リソースが少ない地域です。一方で、高齢の要支援者が多く、地理的・気候的にも困難な点が多い。少ないリソースのところに多大な負荷がかかっています。日本の70%は中山間地域であり、大都市以外の災害は今後はこういうパターンが増えていくでしょう」 災害対応にはパターンがある ――負荷はたとえばどのようなところに表れますか。 「国や県などから復旧のため… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル