石川県珠洲(すず)市に設置されている気象庁の地震計で、2日から観測した地震波のデータを送れなくなる不具合が起きていることが分かった。同庁によると、同市付近を震源とする地震が起きた場合、緊急地震速報が最大で6秒程度遅れる可能性があるという。 地震計は、地震の初期に発生する微動(P波)を観測する装置。気象庁がそのデータを受信し、後に来る強い揺れ(S波)を緊急地震速報として発表している。 同庁地震津波監視課によると、地震波の観測はできているものの、データがたびたび届かない状態だという。詳しい原因は分かっていないものの、1日に最大震度7を観測した能登半島地震やその後の地震の影響とみられる。これまでの緊急地震速報に影響があったかは分からないという。今後職員を派遣して調べる。(大山稜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
冬の酒蔵、再会を喜ぶ味 佐々木蔵之介さんの母の味と蔵人の唐揚げと
風が冷たくなると、酒造りの季節がはじまる。 京都の洛中唯一の造り酒屋「佐々木酒造」。夏の間、ひっそりとしていた酒蔵に活気が戻る。 蔵人たちが素顔に戻る「まかない」の時間。そこには、再会と、共に酒造りをする喜びを分かち合う二つの味がある。 ◇ 東の空が白みはじめるころ、二条城のすぐ北にある酒蔵の屋根の隙間から湯気が立ち上る。 足元から寒さを感じる京の底冷え。米を蒸す「甑(こしき)」と呼ばれる大型の蒸し器から出る湯気に、蔵人たちは、時折、手をかざす。 午前7時。米が蒸し上がると、ほんのり甘い蒸し米の香りが一気に立ちこめる。 こうじ米の栗のような香り。酵母が発酵するかすかな音。刻々と変わるもろみの表情……。 酒造りの指揮をとる田中豊人杜氏(とうじ)(56)は「酒造りは、生き物を育てる感覚に近い」。7人の蔵人は香り、温度、音、あらゆる感覚を研ぎ澄まし、酒造りに向き合う。 そんな蔵人らの表情が和らぐのが、昼のまかない時間だ。 婚約者から贈られた酒かす 佐々木晃社長(53)や、兄で俳優の佐々木蔵之介さん(55)ら三兄弟の母、紀美江さん(83)が、かつては20人ほどいた蔵人に、新酒の酒かすで作ったかす汁をふるまっていた。 紀美江さんは、先代社長で、夫の勝也さんとの婚約当時、山梨の実家に届いた酒かすの感動を忘れない。 「白くて、香りがよくて、ああ、こんなきれいな酒かすがあるんだなって」 結婚して京都へ。義祖母から… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
篠山紀信さん「一番いいところをパパッと」 伝説の撮影は15分で
「その時代の中で面白いなっていうヒト、コト、モノのそばに行って、一番いいところをパパッと撮っちゃう」。亡くなった篠山紀信さんの写真の本質は本人が語った言葉に凝縮されている。 三島由紀夫さんや長嶋茂雄さん、山口百恵さんらの著名人から東京の街の変化まで、常に時代に伴走するように「これしかない」と思える写真を撮り続けた。 それを可能にしたのはまず、「週刊プレイボーイ」や「明星」「GORO」といった全盛期の雑誌の数々だ。表紙の写真を約20年撮った「週刊朝日」では、俳優となる宮崎美子さんが初回の、女子大生シリーズといったヒット作も生まれた。 しかしそれ以上に重要なのは、本人が「写真力」と呼ぶ技量の存在だろう。写真との本格的な出あいは、日本大学芸術学部の写真学科でのこと。当初から「職業」としての写真家を意識。早くから頭角を現し、卒業制作の写真が雑誌に掲載された。 広告制作会社を経て独立する… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
写真家・篠山紀信さん死去、83歳 「週刊朝日」や「激写」シリーズ
三島由紀夫さんやジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻、山口百恵さんら、60年以上にわたって時代を象徴する人物やものごとを撮影し、「激写」シリーズなどで知られる写真家・篠山紀信(しのやま・きしん、本名・紀信=みちのぶ)さんが4日、亡くなった。83歳だった。妻は元歌手の南沙織さん、次男はタレントの篠山輝信(あきのぶ)さん。 東京都新宿区の真言宗の寺に生まれ、日本大学芸術学部写真学科に在学中の1961年に、広告制作会社ライトパブリシティに入社。広告写真を撮るかたわら、造形的なヌード写真をカメラ雑誌などに発表して注目された。68年に独立。 青年誌「週刊プレイボーイ」にヌード写真を発表するほか、70年代初期からは月刊「明星」の表紙で、時代のスターを次々に活写。さらに、青年誌「GORO」での市井の人から芸能人までを撮った「激写」シリーズや、「週刊朝日」の表紙連載「女子大生」シリーズなどを、各種週刊誌や女性誌、美術誌に発表した。 70年には、作家・三島由紀夫さんに依頼され、自決直前の姿を撮影。三島さんを介して出会った歌舞伎俳優・坂東玉三郎さんを写した72年の写真集「女形・玉三郎」で芸術選奨文部大臣新人賞。76年には国際美術展「ベネチア・ビエンナーレ」に参加し、建築家・磯崎新さんの構成で「家」シリーズを展示した。 海外でも精力的に撮影した。磯崎さんとコンビを組み、古代エジプトから米ニューヨークの名建築を写した「建築行脚」シリーズ(80年)、シルクロードを走破した「篠山紀信 シルクロード」シリーズ(81年)などを刊行。80年代、複数のカメラを連結して同時撮影し、パノラマ的な風景を見せる手法「シノラマ」を編み出すと、都市から山の噴火まであらゆるテーマに取り組んだ。 写真集を中心とする著書は300冊を超える。91年には、俳優の樋口可南子さんをモノクロで撮影した「water fruit」、トップアイドルだった宮沢りえさんを被写体にした「Santa Fe」とヌード写真集を立て続けに刊行。後者は写真集としては異例の165万部に達し、社会現象になった。 2012~19年に全国巡回した個展「写真力」は計100万人以上が来場。21年には東京都写真美術館でも大規模個展「新・晴れた日 篠山紀信」を開いた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「やっと見つかったね」 発生から72時間、捜索現場に手を合わせ
【動画】輪島市河井町地区の捜索活動=内田光撮影 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市河井町では4日、生存率が落ち込むとされる「発生後72時間」を前に警察などによる懸命な捜索活動が行われていた。 4日午前9時ごろ、冷たい風が海の方から強く吹く中、河井町にある倒壊した民家で兵庫県警の警察官が捜索にあたっていた。 チェーンソーなどで大ぶりな建材を取り除きつつ、慎重な手作業を続けていた。 河井町は「輪島朝市」がある場所として有名な観光名所だが、地震による火災もあり大きな被害を受けた。 河井町に住む男性(76)は地震発生直後に自宅の一部が倒壊し、妻が下敷きになったという。「妻は近所の人たちの助けで奇跡的に救助された。命があって本当に良かった」と話すも、変わり果てた町の様子を眺めながら「言葉が出ない。これからどうしていけばいいのか」と途方に暮れていた。 珠洲市宝立町でも4日夕方、倒壊した建物を消防隊員らが捜索していた。 手を合わせ、その作業を見守っていた浜喜代美さん(69)によると、そこには理容室を営む夫妻が住んでいたという。 捜索により遺体が見つかると「やっと見つかったねぇ」と一人つぶやいた。夫妻は地域のことに詳しく、浜さんと雑談をすることもあった。 この建物の隣では浜さんの親戚が暮らしていたが、今回の地震で亡くなったという。「近くの方ばっかり。どうするこれ……」と、浜さんは声を震わせた。(内田光、友永翔大) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
発生後72時間「こんなことで逝くなんて」妻は年賀状とつぶれた家に
4日夕、生存率が下がるとされる「発生後72時間」を迎えた。各地では捜索活動が続く。 石川県珠洲市若山町。地震で自宅1階がつぶれた谷内(やち)紀明さん(79)は、捜索を終えた消防隊員らに頭を下げた。 地震発生時、妻の悦子さん(76)は、1階の居間のこたつで書き遅れた年賀状をしたためていた。トイレに立った紀明さんはとっさに家を出て助かったが、悦子さんは逃げ遅れ、つぶれた家屋に閉じ込められた。 4日午後、意識不明で救出されたが、死亡が確認された。 定年間際まで珠洲市役所の職員を勤め上げた悦子さん。 「まじめで、元気で、妻中心に過ごす生活は幸せだった。こんなことで逝くなんて」 捜索終了まで涙をこらえていた紀明さんは、自宅を前に立ち尽くしていた。(金居達朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】輪島に帰省中だった中1生徒が死亡 建物倒壊に巻き込まれ
1月1日夕に起きた能登半島地震。生存率が落ち込むとされる「発生後72時間」が過ぎ、消防や自衛隊が懸命な救助活動を続けています。タイムライン形式でお伝えします。 ■■■1月4日■■■ 20:45 安否不明、7市町で179人 石川県発表 石川県は4日午後6時時点の集計として、能登半島地震の安否不明者が7市町で計179人にのぼったと発表した。 内訳は輪島市が93人、珠洲市が68人、穴水町が9人、七尾市が3人、能登町が3人、志賀町が2人、金沢市が1人。 20:00 石川県が義援金募集開始、期間は1年間 石川県は4日、能登半島地震について義援金の募集を始めた。期間は12月27日まで約1年間とし、市町を通じて被災者に届ける。 振り込みの場合は北国銀行県庁支店の普通預金口座28593。口座名義は「石川県令和6年能登半島地震災害義援金」。 県庁1階と県の東京事務所、大阪事務所、小松県税事務所に募金箱も設けた。 17:40 石川県内の死者84人 安否不明は79人 石川県は4日午後3時時点で、県内で84人の死亡が確認されたと明らかにした。 県によると、死者は輪島市で48人、珠洲(すず)市で23人、七尾市5人、穴水町4人、能登町2人、羽咋(はくい)市と志賀町で各1人。重軽傷者は305人。避難者数は約3万3500人という。 安否不明者は午後2時時点で79人。 16:30 石川・七尾市、はたちのつどい中止を発表 石川県七尾市は、地震の影響で7日に七尾市文化ホールで予定していた「はたちのつどい」を中止すると発表した。対象者は約430人。今後、別の日程で開催するかどうかについては「状況をみて判断する」(市スポーツ・文化課)としている。 16:00 富山から輪島に帰省、中学1年男子生徒が死亡 富山市教委は4日、石川県輪島市の親族宅に帰省中だった富山市立中学1年の男子生徒が、1日の地震で建物の倒壊に巻き込まれて亡くなったと明らかにした。 市教委が2日に各学校に安否確認を依頼し、4日にわかった。市教委によると4日午後4時現在で小中学生230人の安否が確認できていない。担当者は「旅行中などで学校からのメールを見ていない場合もあり、全てが被災しているとは考えていないが、学校が再度連絡を急いでいる」と話した。 12:40 災害派遣医療チーム76隊で支援 11万戸超で断水続く 厚生労働省は4日、同省の第4回災害対策本部会議を開き、同日朝時点の被害状況と被災地の支援体制を公表した。災害派遣医療チーム(DMAT)は、特に避難患者が多い石川県の市立輪島病院、珠洲市総合病院、公立能登総合病院の3病院を中心に計76隊が活動している。 医薬品については、陸路で石川県穴水町の公立穴水総合病院などに供給している。4日に人工透析を予定していた患者に関しても、陸路や空路で搬送を手配している。 また、石川、富山、新潟の3県内では、11万戸以上で断水が継続中。石川県では12の医療機関で断水が続いている。 11:45 自衛隊の揚陸艇で救助活動用の重機到着 【動画】輪島市の海岸に上陸する自衛隊のホバークラフト=熊倉隆広撮影 木原稔防衛相は、海上自衛隊の輸送艦から救助活動に使う重機や支援物資を積んだエアクッション型揚陸艇「LCAC(エルキャック)」が4日午前、石川県輪島市内の大川浜に上陸し、重機などを下ろし終えたと発表した。 また、3日までの活動実績として、人命救助・患者搬送122人、道路啓開約4キロ、給水支援67トン、被災地に向かう警察官・消防隊員359人の輸送、糧食約5千食や毛布約1150枚の輸送などを挙げた。 11:50 「自衛隊員を倍増」 首相が支援強化を表明 岸田文雄首相は首相官邸で記者団の取材に応じ、4日夕に生存率が下がるとされる「発生後72時間」となることを踏まえ、「現場の総力を挙げて一人でも多くの方の救命救助を目指していく」と語った。救助活動のほか、避難所などを回ってきめ細かにニーズを把握するため、自衛隊員を2千人から4600人に増強する方針も示した。 首相は同日午前7時現在の被害状況について、死者73人、安否不明者15人、重傷者19人、軽傷者222人と説明。警察で確認している要救助事案は138件で、このうち65件の対応を終了し、49件については対応中か同日中に対応の具体的な見込みが立っているとした。道路の状況などでアクセスが困難な24件についても「ヘリなどあらゆる手段を用いてアクセスすることを試みている」と説明した。 寒冷対策など避難所での支援強化に予備費を使うことを9日に閣議決定する方針を明らかにした。規模については「過去の事例と比較しても倍近くになる」と語り、40億円規模になるとの見通しを示した。 10:45 岸田首相、「72時間まで総力挙げて救命を」 政府の非常災害対策本部会議が首相官邸で開かれ、岸田文雄首相は「命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻までに、現場の総力を挙げて一人でも多くの方を救命救助できるよう全力で取り組んでほしい」と指示した。 首相はまた、「避難所に多くの物資を円滑に届けるためにも、道路の復旧など輸送面の課題の早期解消を目指してほしい」と語った。 09:30 津波による行方不明者、海保が初確認 捜索中 海上保安庁は4日午前に開催された石川県の災害対策本部員会議で、同県珠洲市宝立町で1人が津波で流されて行方不明となり、捜索していることを明らかにした。海保によると、今回の地震による津波で行方不明者が確認されたのは初めて。 09:30 石川県内の死者78人、避難者3万4千人 石川県などは4日午前8時時点で、県内で78人の死亡が確認されたと明らかにした。 県などによると、死者は輪島市で44人、珠洲(すず)市で23人、七尾市で5人、能登町と穴水町で各2人、羽咋(はくい)市と志賀町で各1人。重軽傷者は330人。避難者数は約3万4千人という。 09:00 […]
元機長・管制官が読み解く交信記録 海保機とJAL機衝突
東京・羽田空港で日本航空(JAL)の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上した事故で、複数の元機長が取材に対し、「ナンバーワン(1番目)」という管制官の言葉を海保機の機長が誤解した可能性を指摘した。 国土交通省が3日に公表した管制官との交信記録には、事故直前の管制官と両機とのやりとりが残されている。 複数の元機長や元管制官が注目したのは、事故2分前の2日午後5時45分のやりとり。管制官が海保機に「ナンバーワン。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」と指示し、海保機が「滑走路停止位置C5に向かいます。ナンバーワン。ありがとう」と応じた場面だ。滑走路停止位置は、滑走路の手前の誘導路上にある。 「滑走路へ急いだ可能性」 全日本空輸(ANA)の元機長で航空評論家の内藤一さん(71)は、海保機がJAL機に着陸許可がおりていたことを認識していなかった可能性があるとしたうえで、「海保機に勘違いがあるとすれば、『ナンバーワン』という言葉では」という。「この言葉によって、海保機のパイロットが滑走路へ入るのを急いだ可能性がある」という。 JAL元機長の八田洋一郎さん(75)も「海保機のパイロットが『ナンバーワン』という言葉を聞き、管制から離陸許可まで出たと拡大解釈してしまったのではないか」とみる。 八田さんによると、パイロットは管制官の指示通りに動かなければならない。通常、管制官が出発機に「ナンバーワン」と伝えれば、それは「離陸の順番が1番目」を意味する。今回、交信記録では、管制官は海保機に滑走路停止位置までの走行しか指示していない。にもかかわらず、海保機は滑走路に進入しており、「指示通りに動かなかった海保機のパイロットに誤認識があったとみられる」と話す。 災害支援など緊急時は優先も 一方、管制官歴17年で、中部国際空港で主任航空管制官を務めた田中秀和(ひでたか)さん(41)は、管制官の「ナンバーワン」という指示は、海保機を優先して離陸させるための指示だった可能性もある、とみる。 海保機は能登半島地震の救援のため、新潟航空基地に向かおうとしていた。当時、海保機とは別の誘導路に、先に管制官とやりとりしていた他の民間機が待機していた。 田中さんによると、災害支援などの緊急時は、管制官の指示で離陸の順番を変えることはありうるという。「今回も地震の救援に向かう海保機を管制官が優先し、『ナンバーワン』と指定した可能性もある」と指摘する。 田中さんは、交信記録だけみればおかしな点はないとしたうえで、「管制官であれば、地上レーダーの画面などで、海保機が滑走路に進入したことに気づくことができた可能性はあった」という。「エラーは起こり得るが、通常は当事者の誰かが瞬時に気づいて、事故を防ぐ。今回は管制官や、海保機・JAL機の機長や副操縦士らの目を全てくぐり抜け、事故が起きてしまった」 元JAL機長で日本ヒューマンファクター研究所長の桑野偕紀(ともき)さん(83)は、数多くの航空機事故の原因を調べてきた。「今回は管制官との交信をめぐるヒューマンエラーが事故原因である可能性が高い。だが、仮に一つのエラーがあっても、事故に結びつけない仕組みがなぜ構築されていなかったのか、という点まで検証をしてほしい」と話している。 海保は3日夕、海保機の機長から事故直後に「滑走路への進入許可を得たうえで、進入した」という報告を受けていたことを明らかにしている。国交省は「記録を見る限り、海保機に対して、滑走路への進入許可は出ていない」とした。 ◇ 事故の影響で4日も欠航が相次いだ。 国交省によると、同日午後4時時点で羽田を発着する国内線が212便欠航となった。午後6時時点で、ANAで95便、JALで82便、スカイマーク9便が欠航。少なくとも計3万8千人に影響が出た。 現場のC滑走路は使えない状況が続き、再開の見通しは立っていない。 ANAの担当者は「機材と乗員がそろわない状況が芋づる式に起こっている」と説明する。4本ある滑走路のうち1本が使えないことで運航本数が制限されているほか、前日夜の欠航が翌日早朝の運航に響いているという。(伊藤和行、二階堂友紀、角詠之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
津波直後に渋滞した国道、現実的な避難方法は 新潟の重軽傷34人に
石川県能登地方を震源とする地震で、新潟県内では4日、重傷者2人が確認され、負傷者は重傷3人を含む34人になった。住宅の被害も、新潟市の37棟で新たに判明するなど524棟まで増えた。 県災害対策本部の4日午後3時時点のまとめによると、この日重傷が確認された見附市の80代女性は、自宅で倒れてきたふすまの下敷きになって右手首を骨折。上越市の80代女性は自宅で転倒して尾てい骨を折った。負傷者全体では前日から8人増えた。 新潟市の液状化被害 さらに拡大か 住宅被害は一部損壊が104棟増の513棟で、全壊は1棟、半壊は10棟のまま変わらなかった。液状化現象が相次いだ新潟市内を中心に確認作業が続いており、今後さらに被害が広がるとみられる。新潟市の要請を受けて県は、被災した建物の危険度を調べる判定士10人を派遣した。 花角英世知事は4日、定例の記者会見で、「災害対応は問題なく進められている」との認識を示した。「ただちに国の支援が必要なものはない」とする一方、液状化の被害が「どこまで広がるか心配」とも述べた。 柏崎刈羽原発の再稼働の議論への影響については、「致命的な問題が起きているとは聞いていない。大丈夫だったということなんでしょう」と語った。同原発では、核燃料を保管する燃料プールの水が地震の揺れであふれ出たことがわかっている。(初見翔) 「津波の避難は徒歩で」は現実的? 仕事始めとなった4日、被災した自治体の首長から地震に関する発言が相次いだ。 津波で住宅や海水浴場の小屋が被害を受けた上越市の中川幹太市長は年頭会見で、津波警報発令時の避難について、「普段から徒歩で高い所に逃げることを市民に伝えているが、現実的な選択肢として車で避難する市民が多いことも承知しておかねばならない」と語った。当時、海から離れる南の妙高市や長野市に向かう国道18号などが渋滞したとし、「主に帰省客ら県外、市外の人がどこに避難していいのかわからなかった」との認識も示した。 市は津波ハザードマップで、車での避難は渋滞に巻き込まれるとして「可能な限り徒歩で」と呼びかけている。今後、今回の避難行動などについて検証する考えだ。 長岡市の磯田達伸市長は課長級以上の幹部職員約130人を集めた年頭のあいさつで、元日から招集された全職員に対し「大変な正月になった」とねぎらった。そのうえで、「(津波)警報は解除されたが、まだ余震も考えられる。何が起きても対応できる形で仕事を進めていただきたい」と話した。(北沢祐生、白石和之) ボランティアの募集開始 新潟市西区社会福祉協議会は4日、ボランティアの募集を始めた。市内在住か在勤の高校生以上で、6~8日の3連休に活動できる人を対象に、1日30人ほどを募っている。家屋と敷地の土砂の撤去や荷物の運び出しなどの作業にあたる。申し込みは同社協のホームページ(https://niigatanishiku-syakyo.jp)。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
80代女性を被災住宅から救出 「もうちょっとやで」72時間超え
【動画】輪島市で3日ぶりに救出された80代の女性=大阪市消防局提供 大阪市消防局は4日、能登半島地震で被災した石川県輪島市内の住宅から80代の女性を救出したと明らかにした。生存率が著しく低くなるとされる「発生後72時間の壁」を超えていたが、意識もあり、発見時に命に別条はなかったという。 大阪市消防局によると、石川県に派遣された市消防局など大阪府の消防隊員が同日、輪島市で被災した一帯を1軒ずつ捜索していたところ、1階部分が押しつぶされた2階建て住宅から人の気配を感じた。完全に崩壊していた1階を詳しく調べたところ、下敷きになっていた女性を発見。崩れた1階部分を広げたり、潜ったりして救助を試みた。 市消防局の記録動画によると、隊員らは「もうちょっとやで」「がんばってな」と呼びかけ続けながら、女性を引き上げた。女性は呼びかけにも応じ、隊員らに「よう頑張ったね」と毛布でくるまれて担架で運ばれた。病院に搬送されたが、意識はある状態だという。 市消防局によると、救出時間は4日午後4時28分で、能登地方で最大震度7の地震発生から72時間と18分後だった。(村井隼人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル