高浜行人2023年12月27日 17時00分 給食費や教材費といった「学校徴収金」の管理・督促を、教員の業務から外している自治体は5割弱――。教員の長時間労働が問題となるなか、全国の自治体の働き方改革の進み具合を文部科学省が調べたところ、そんな結果が出た。文科省は徴収金関連の業務を教員の仕事から外すよう自治体に求めてきたが、改善は道半ばだ。 同省が27日、全都道府県・市区町村(計1795自治体)を対象にした調査の結果を公表した。 それによると、今年10月1日時点で「学校徴収金の徴収・管理は教師が関与しない方法で行っている」かを尋ねたところ「既に実施または実施中」と答えたのは45・3%。「実施に向け検討中」が32・0%で、「取り組んでいない、取り組む予定がない」は21・8%だった。 また、「放課後から夜間の見回り、児童生徒が補導された時の対応は、学校以外の主体(教育委員会、地域人材など)が中心に対応している」かどうかを聞くと、「既に実施または実施中」としたのは29・5%で前年比3・7ポイント増にとどまった。 6年前に「直ちに改善を」と中教審 国は近年、教員を本来の業務である教育活動に専念させるため、それ以外の事務作業などは教員以外に担ってもらう方向で改革を進めてきた。学校徴収金の管理業務はそうした事務作業の中で特に負担が重く、2017年に文科相の諮問機関・中央教育審議会が教員の働き方改革の緊急提言で「教員の業務としないよう直ちに改善に努めること」と求めた。19年の中教審答申でも、放課後の見回りなどとともに「基本的には学校以外が担うべき業務」に分類されている。 文科省の担当者は「先進的な取り組みもみられるなど地域によっては徐々に改善しているが、自治体間で取り組みに差もみられる。各自治体でしっかり働き方改革を進めてほしい」と話す。(高浜行人) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最高齢パンダのタンタン、病状良くなく竹食べられず 中国返還を延期
小川聡仁2023年12月27日 17時15分 神戸市立王子動物園(同市灘区)は27日、今月末に迫っていた国内最高齢のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」の中国への返還期限について、1年延長したと発表した。今秋以降は心臓疾患の悪化などで竹が食べられず、液体の栄養食に薬を混ぜて飲ませているという。加古裕二郎園長は「タンタンファースト(優先)の考え方で治療にあたっている」と説明した。 同園によると、心臓疾患の病状が改善せず、「中国に輸送するリスクが大きい」との判断で、日中双方が合意した。延長された期限は、来年12月末まで。 タンタンは今年10月以降に体力が低下。食欲がなくなり、1日の9割以上を寝るか、じっとして過ごしている。以前は80~90キロだった体重が100キロ前後に増えた。検査のために職員が姿勢を変えるように指示しても、集中力を欠いて従わないこともあるという。 同園は心臓疾患と加齢が影響しているとみており、タンタンの寝室に酸素供給装置4、5台を置くなど、体調管理に努めている。 タンタンは、2000年に中国・四川省から貸し出された。合意していた飼育期間が満了するとして、20年に中国への帰国が決まったが、コロナ禍で一時延期になった。21年には心臓疾患が見つかって強心薬の投薬などが続けられ、返還期限の延長が続いている。 タンタンは現在28歳で、人間の80代に相当する。国内に9頭いるパンダのうち最高齢。同園では22年3月から観覧を中止している。(小川聡仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゆるキャラ「しんじょう君」のお守り 1万円の巨大サイズの絵柄は
高知県須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」を描いたお守りを、地元の賀茂神社が新年の元旦から授与する。絵柄が毎年変わる恒例グッズだ。 10年目となる今回、受注生産の巨大サイズ(縦38センチ、横24センチ)は過去のイラストを勢ぞろいさせた特別版。1万円だが毎年注文が入るという。 境内で授与するのは特大サイズ(縦29センチ、横21センチ)で3千円。通常サイズ(縦8センチ、横5センチ)と縦長(縦10センチ、横4センチ)は色や絵柄の異なる計8種があり、各800円。 しんじょう君は、須崎市内を流れる新荘(しんじょう)川でかつて目撃されたニホンカワウソをモチーフに2013年に誕生した。 「ゆるキャラグランプリ2016」で全国1位に輝き、市のふるさと納税宣伝隊長を務めてきた。22年度の市のふるさと納税の受け入れ額は約26億2千万円にのぼり、四国の自治体で1位に。 ふるさと納税PRで市に福をもたらし、今年は誕生10周年を記念して、市内に銅像が建つほどの人気ぶりだ。 地元では「可愛いお守りなので、眺めるだけでも幸せな気持ちになれる」という声も上がっている。(蜷川大介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「675年前のタイムカプセル」仏像内の紙、全面に仏の印を発見
仏像の中に納められた紙には、仏を描いた印が押されていた――。真言宗寺院の明王院(みょうおういん)(広島県福山市草戸町)は27日、国宝の五重塔にまつられている本尊「木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)」(県重文)の頭の中から発見された和紙の束に、釈迦如来など三つの仏を描いた「印仏」が全面に押されていたと発表した。 五重塔は南北朝時代の1348年に建立された。坐像も同時期に造られ、和紙の束は完成時に中に納めた「納入品」とみられるという。今年夏、坐像の解体修理を行った際に見つかり、紙質の劣化が進んでいたため、慎重に取り出して内容の確認を進めていた。 塔ができた675年前の状況を「タイムカプセルのように時空を超えて伝えてくれるのでは」と期待が高まっていた。 福山市文化振興課によると、納入品は3点あった。一つは、縦23センチ、横16センチの和紙10枚をこよりで束ねたもの。各紙に、釈迦如来と薬師如来、地蔵菩薩を並んで描いた「印仏」が墨色で幾つも押されていた。もう一つは、やや小さな紙束に印仏を押したもの。三つめは一枚紙で、一部に印仏が押されているほか、文字が書かれているという。 市文化振興課によると、多くの印仏は特定の一つの仏を描き、幾度も押したものが一般的で、三つの仏を並べて一つの印仏にしているのは珍しい。同課は「三つの仏は過去、現在、未来にわたって存在する一切の仏を表す『三世仏』だと考えられる。今後も調査を進めたい」としている。(西本秀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国と東京都に賠償命令 「大川原化工機」国賠訴訟 東京地裁
軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして逮捕、起訴され、その後起訴が取り消された「大川原化工機」(横浜市)の社長らが、国と東京都に計約5億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(桃崎剛裁判長)であった。判決は、国と都に賠償を命じた。 同社は、液体を粉に加工する「噴霧乾燥機」を製造、輸出していた。警視庁公安部は2020年3月、生物兵器の製造に転用が可能で、輸出規制の対象なのに国の許可を得ずに輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で大川原正明社長ら3人を逮捕した。 東京地検は同月に起訴したが、その後、同社の機器が、輸出規制の要件の一つである殺菌性能を満たさない可能性があるとして21年7月に起訴を取り消した。この間、逮捕、勾留されていた同社顧問の相嶋静夫さんは、保釈が認められないまま胃がんが悪化して亡くなった。 同社側は同年9月に提訴。殺菌性能をめぐる輸出規制の要件について「所管する経済産業省も明確な定義を持っていなかったのに、公安部が誤った独自の解釈をして逮捕した」「複数の社員が指摘した問題点について、確認実験をすれば規制対象外だと分かったのに、これを怠った」などと訴えた。 国や都は「犯罪の嫌疑に相当な理由があった」とし、捜査幹部だった警視(当時は警部)は「着手すべき事件だった」、起訴した検察官は「起訴に間違いがあったと思っていない」と証言。取り調べや罪証隠滅のおそれなどを踏まえて逮捕、起訴したことは「合理的だった」と主張した。 ただ、今年6月、証人として出廷した現役の公安部の警部補は、事件について「まあ、捏造(ねつぞう)ですね」と証言。別の警部補も「捜査幹部がマイナス証拠を全て取り上げない姿勢があった」などと述べていた。(金子和史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「おれとジャニーさんは…」 覆面ライターが明かす35年前の告発
今から35年前。1冊の本が、世間の注目を集めた。 アイドルグループ「フォーリーブス」のリーダーだった、北公次氏(故人)が、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏から性的行為を強いられていたとつづった告発本「光GENJIへ」(データハウス)だ。 当時一部の雑誌で、喜多川氏の性加害問題は取り上げられていたが、アイドルグループの元メンバーが実名で明かしたのはこの本が初めてとされる。1988年に出版され、35万部ものベストセラーになった。 作家の本橋信宏さん(67)は、今年8月に出版した「僕とジャニーズ」(イースト・プレス)で、「光GENJIへ」のゴーストライターだったことを明かし、こう書いた。 「長年にわたりタブー扱いされてきたジャニー喜多川性加害問題の舞台裏を明かすことは、『光GENJIへ』の覆面作家だった私に負わされた責務だろう。(中略)下ろしたはずの幕をもう一度あける思いで、私はそれらを明らかにしていこうと思う」 どうやって「光GENJIへ」はできたのか――。 発端は、北氏と喜多川氏に関する情報提供だったという。 「北公次と喜多川氏が同棲」という情報 88年、仕事でつながりがあ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャニーズ性加害、35年ぶりの実名告白 「よく生きてこられた」
「貴殿のお名前、生年月日、在籍期間に基づいてSMILE―UP.(旧ジャニーズ事務所)に照会いたしましたが、現在のところ、貴殿がジャニーズ事務所に所属されていたことの確認がとれていないとの連絡を受けております」 またか……。元ジャニーズJr.として活動していたという倉田順一さん(55)は、冷めた気持ちと怒りが混ざったような複雑な感情になった。 事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏から性被害を受けたとして、事務所が設置した「被害者救済委員会」に被害を申し出ていた。 現実を事務所にも知ってもらい、これ以上被害者をださないようにしてほしい。そんな思いだったが、救済委員会からの返事に肩を落とした。現在、レッスンの場所やダンスの先生に関する詳細を伝え、コンサートの写真などを提出している。 「またか」という思いは、約35年前にも同じようなできごとがあったからだ。 14歳の時から性被害に 芸能人にあこがれがあった… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子どもを守るためなのに…虐待被害者の支援に潜む「構造的トラウマ」
Re:Ron連載「こころがケガをするということ」第7回 まるで誘拐されるみたいだった――。 これまで私は精神科医として、児童虐待を受けたことによってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した多くの子どもとその加害者ではない養育者に対して、トラウマへの専門治療を提供してきた。この治療は、過去のこころのケガ体験に向き合い、整理することが目的なのだが、その際に「支援を受ける過程でとてもつらかったこと」を語る子どもや養育者は少なくない。支援者は、子どもを守るために定められた仕事をまっとうに遂行していることはまちがいない。それなのに、だ。そこで今回は、支援に潜む「構造的トラウマ」について考えたい。 最初に、実際にあったことを複数組み合わせた模擬事例を3例提示する。いずれも、児童虐待支援現場でよく目にするケースだ。 事例1.虐待通告を受けた児童相談所(児相)の職員が、安全確認のために家庭訪問した際のできごと。父から身体的虐待を受けていたA(小学校低学年)が語ったこと。 ―――― ある晩、突然家に知らない人が何人かやってきた。とても怖かった。その人は、最初にお父さんに「Aちゃんの顔にあざがありますが、どうしたんですか?」と質問した。お父さんは「Aが自分で転んでできたあざだ」と答えていた。それを隣で聞いた時、私のおなかがムズムズして「うそだ! お父さんが殴ったからだ!」と思った。でも、そのうちにわからなくなった。本当は自分で転んでできたあざかもしれない。次に、児相の人は私にも同じ質問をした。私はどう答えようかとても迷ったけど、結局「自分で転んだ」と答えた。変な答えをしたら、またお父さんに殴られるかもしれないし。児相の人たちは、お父さんと私の言うことを信じて帰っていった。 ―――― この事例は、児相の職員が家庭訪問し、既定の安全確認を行った際の光景だ。職員は、子どもが本当のことを言うとは限らないことを知っているので、父やAの言うことを真に受けて帰ったのではないことも明らかだ。とりあえずの子どもの安全を確認し、今後も引き続き見守りがなされることだろう。 恐怖や不安に陥れることも しかし、Aはこの体験でどのようなことを学んだだろうか。 「やっぱりお父さんの言うことは絶対だ」 「周りの大人もお父さんの言うことを信じるんだ」 そんな思いを強くしたかもしれない。 Aはこの後、積極的に助けを… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「堺市のガバナンスずさん」 生活保護受給の男性暴行死事件で報告書
堺市中区で昨年11月、生活保護を受給中の男性(当時63)が暴行され死亡した事件で、市職員の対応などを調査してきた堺市の検証委員会が26日、「市行政のガバナンス(統治)が杜撰(ずさん)」などとする報告書を公表した。 この事件では、男性に暴行を加えて死亡させたとして隣人の楠本大樹被告(33)が傷害致死などの罪で起訴されたほか、楠本被告に生活保護費を不正支給した疑いで中区役所職員4人も書類送検された。市は大学教授らで構成する検証委員会をつくり、職員らから聞き取り調査をしてきた。 報告書によると、男性と楠本被告が知り合ったのは昨年10月。同月にあった区役所での男性の面談に楠本被告が同席し、男性を拳で殴ったが、居合わせた職員は警察に通報せず、上司にも報告しなかった。男性への暴行はその後もあったが、職員は恐怖心から楠本被告の「言いなり」になっていたという。 楠本被告は「金を貸している」などとして男性の生活保護費を管理した。社会福祉協議会などが管理すべきだったが、「弁済金」として金の受け渡しを区役所が黙認したことで、被告側に男性の生活保護費の大半が渡る結果を助長したと指摘した。男性の親族の了解を得ず、男性の生命保険加入状況を楠本被告に明かすなどの問題対応もあったという。 報告書は区役所の対応を「『我流』、場当たり的、個人任せの非組織的対応」とした。そのうえで、区役所を指導する立場にある本庁の存在感のなさも指摘した。 楠本被告の逮捕を受けた区役所の会見で、暴行や金銭の授受について十分な確認をしないまま情報発信した点にも疑問を呈した。再発防止策として研修の強化などを市に求めた。 報告を受けた永藤英機市長は「今回のような事案が発生したことを重く受け止めている。提言を踏まえ、市民の信頼回復に努める」とのコメントを発表した。(井石栄司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高校の情報科教員「正規免許なし」今年は4%まで減少 文科省調査
教科「情報」の正規免許を持たない同科の担当教員が全国の公立高校に何人いるか文部科学省が調べたところ、今年5月1日時点で担当教員全体の4・4%にあたる192人だった。前年同期の796人(16・7%)から大幅に減ったが、当初の見込みほどは減っておらず、同省は「来年度こそゼロにしてもらいたい」として、改善を求めている。 プログラミングなどを学ぶ同科は専門免許を持つ教員の配置が少ない自治体があり、教える態勢の地域格差が問題となっていた。新学習指導要領(2022年度の高1から順次適用)では、プログラミングやデータ活用などを学ぶ必修科目「情報Ⅰ」と発展的な選択科目「情報Ⅱ」に再編され、「情報Ⅰ」は25年1月の大学入学共通テストにも導入される。こうした状況を受け、同省は各教育委員会に対し態勢強化を求めてきた。 同省によると、公立高校の情報科担当教員4411人のうち、別の教科の免許はあるが情報の正規免許は持たない「免許外教科担任」は124人(前年度560人)、正規免許を持つ教員を採用できない時に期限付きで発行される「臨時免許」の教員は68人(同236人)で計192人。20年度の計1233人(担当教員の24・3%)、昨年度の計796人から大きく減っている。 ■「正規免許なし」多い県は…… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル