背中、腕、足。赤黒く生々しい傷痕が、事のすさまじさを物語っていた。 「あのとき助けてもらえなかったら、僕は確実に死んでいました」 12月中旬、男性(63)はそう振り返った。 あのとき。それは1月22日の未明にさかのぼる。 4人死亡、3人意識不明 神戸市兵庫区の3階建て集合住宅「第2ひろみ荘」の1階付近から火の手が上がった。 鉄筋コンクリート造りの1、2階部分の計約60平方メートルが焼け、1階に住む70~80代の男性4人が炎や煙に巻かれて死亡した。 当初の警察発表では他に1階の住人男性4人が搬送され、うち3人が意識不明、1人が重傷を負った。 「意識不明」のひとりがこの男性だった。 当時は就寝中で、火事が起き… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
現代版「灯台守」になったカップル 100年の歴史背負って町おこし
業務は灯台の管理に加えて、まちおこし――。現代版の「灯台守」というべき試みが愛知県美浜町で始まった。担い手は一般公募で選ばれた若いカップル。移住して町のシンボル・野間埼(のまさき)灯台を活用し、様々なイベントを仕掛けていく予定だ。 地元の一般社団法人美浜まちラボや観光協会、町などによる野間埼灯台ポータル化実行委員会が発案、企画した。 実行委が「週3日、来年4月までの半年間の活動で150万円を支給」という条件で10月末まで募集したところ、20~60代の約30組・人から応募があった。この中から名古屋市中川区の仙敷(せんしき)裕也さん(35)とパートナーの佐々木美佳さん(25)を選んだ。 「仕事が軌道に乗ったのは灯台のおかげ」 知多半島の南西、伊勢湾に臨む野間埼灯台は高さ18メートル。1921年の完成で、80年代末に無人化された。眺めとアクセスの良さから知多半島でも屈指の観光スポットに数えられている。 実行委の委員長で町立布土(ふっと)小学校教諭の林達之さん(55)は、美浜まちラボのリーダーでもある。10年ほど前から、普段は閉鎖されている野間埼灯台の内部を一般公開したいと各方面に働きかけてきた。 2021年に航路標識法が改正され、海上保安庁が民間の協力団体に灯台の維持を託すようになった。美浜まちラボも管理を委ねられるようになり、一般公開を任意で増やすことができるようになった。これに合わせ、実行委をつくり、まちおこしの活動にも専従して取り組む「灯台守」を募ることになった。費用は、日本財団などからの助成金で賄う。 仙敷さんはフリーカメラマンで、結婚式で使う写真や動画の撮影を手がけている。コロナ禍以降は、屋外での撮影地として野間埼灯台の人気がとても高くなり、年間120日ほど通っていたという。「仕事が軌道に乗ったのは灯台のおかげ。地元に貢献したい」という動機で応募した。 カメラマンの仕事は続けつつ、会社を退職した佐々木さんと町へ年内にも移り住む。 古い金属製のポスト、塗り替えてモニュメントに 2人は宣伝用のウェブサイトを製作。先行して動画はユーチューブで公開した。集客イベントとして、灯台周辺でのテントサウナの設置、キッチンカーも集うマルシェなどを計画している。記念撮影のためのメイク、着替えができる場所を設けることも考えている。仙敷さんは「一つひとつ実現させて、ここで撮影した人が再び戻ってきたくなるような場所づくりをしたい」と話している。 実行委は、今回の取り組みの記念として、布土小に放置されていた古い金属製のポストを塗り替え、モニュメントとして来月に灯台周辺に安置する。林さんは「2人が地域の核となって住民、店、団体をつなぎ、盛り上げていってほしい」と話している。 活動の様子は、25日更新のウェブサイト(https://nomasakitoudaimori.com/)で確認できる。(臼井昭仁) ◇ 〈灯台守〉 海を行き交う船の道しるべとなる灯台を管理する人。光源の点灯やレンズの手入れ、敷地内の清掃といった業務を各地の海上保安庁の職員が泊まりがけで担った。灯台の多くは人里離れた場所にあり、近くに官舎もあった。機械化による無人化が進み、2006年を最後に国内から姿を消した。灯台守の夫婦を主人公にした映画「喜びも悲しみも幾歳月」(木下恵介監督、1957年)が有名。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
課題も多いが温暖化防止に一役 国が旗振る有機農業、取引価格2倍も
身体や環境に優しいとされる「有機農業」。国内での取り組みは全耕地の1%にも満たないが、温室効果ガスの削減効果があるなどとして、国は2050年までに25%に拡大する大胆な目標を掲げる。課題も指摘される中、現場はどうなっているのだろうか。 ニンジン、ホウレン草、サトイモ……。2023年11月上旬、畑では多くの作物が栽培され、陽光に照らされた葉は青々と見えた。ただ、所々で雑草も伸びている。「除草剤は使っていないから」。福島県二本松市で有機農業に取り組む大内督(おさむ)さん(50)には当たり前の光景のようだ。 大内さんは「二本松有機農業研究会」の会長でもある。21人の会員が、「有機JAS」の認証を受けた19ヘクタールの農地を中心に、コメや野菜を栽培している。 研究会の母体は地元農協に設けられた生産部会。農家の有志17人が1978年に発足させた。前年に、滋賀県の琵琶湖で赤潮が発生し、流入する合成洗剤が一因とされた。環境意識の高まりを背景に、環境への負荷が少ない農法で時代の要請に応えようというものだった。 秋田・大潟村ではコメを推進 有機農業は、化学的に合成さ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奈良県下北山村で土砂崩れ 車が複数台巻き込まれた可能性
23日午後8時50分ごろ、奈良県下北山村前鬼の国道169号で、「土砂崩れが起きて道路がふさがり、車が通れない」と110番通報があった。奈良県警吉野署などによると、50代男性が運転する軽乗用車1台が土砂に埋まったほか、他にも複数台が巻き込まれた可能性があるという。 同署や県広域消防組合などによると、西側の斜面が約5メートルの高さから崩れ、土砂が約100メートルにわたって路面に広がっているという。軽乗用車の男性は意識はあるが、車が変形し、足が挟まれて出られなくなっているとみられ、救助活動が続いている。 通報者は「片側交互通行で、自分の前に車が4台くらい走っていた」と話している。現場では白煙も見えており、他にも車が巻き込まれた恐れがあり確認を急いでいる。 奈良県道路マネジメント課によると、現場は今年5月の豪雨でのり面が崩落し、復旧工事を控えて仮設の防護柵を設置していたという。(机美鈴) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国谷裕子さんが抱く、食の未来への危機感 「消費者は何ができるか」
2030 SDGsで変える 大切な食べ物の産地に消費者が移り住み、地域の持続可能性を高めようと地元の人と力を合わせる、山形県酒田市の移住・交流拠点「TOCHiTO(とちと)」。その交流スペースで10月下旬、初の「子ども食堂」が開かれた。 今年完成した「とちと」には、生活協同組合・生活クラブ連合会の呼びかけに賛同した23人が移り住んできました。取り組みの経緯や狙いとは。SDGs取材で朝日新聞と連携するジャーナリストの国谷裕子さんも現地を訪れ、取材しました。 主に都市部から移って来た居住者たちの間では、地域で子ども食堂を開くアイデアもある。活動の参考にしようと、まずは地元の「庄内ちいき食堂」に声をかけて会場を提供し、移住者も手伝う形を取った。地元のひとり親家庭など14組45人が来場。おにぎりや芋煮を味わったり、おもちゃや絵本で遊んだりして楽しんだ。 「とちと」と横浜市で2拠点生活を送る猪股順子さん(62)は準備や片づけを手伝い、来場者と交流した。「和やかでよかった。この場所でみんなと子ども食堂が開ければ」 現地を今年夏に訪れたジャーナリストの国谷裕子さんが驚いたのは、多様なキャリアやライフステージの入居者たちが、地域での自分の役割を積極的に探そうとする姿だ。 リモートワークをしながら… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ほっておけず任意で受け入れ、財政的には火の車 元暴走族の心意気
「金がないから受け入れない、では悲しい。必要があるから引き受けている」。自立準備ホームを運営する大阪府東大阪市の特定NPO法人「チェンジングライフ」理事長の野田詠氏さん(47)は言う。 刑務所や少年院から出るのに帰る場所がない人を受け入れる自立準備ホーム。保護観察所からの委託を受け、就労や自立に向けて支援をする。委託費は住居、食費、自立準備支援費を合わせて1人1日あたり約5300円。それで運営の人件費も含め、すべてをまかなわなくてはならない。 着の身着のままで来た少年への衣服や、受け入れ直後に必要な布団やシャンプーなどの生活雑貨なども用意しなくてはならない。保護観察所からの委託がつかない、つまり委託費が出ない若者らも多く引き受けている。 準備ホームを始めた2011年からの受け入れは委託ありが35人、委託なしは初犯で試験観察処分になり対象にならない人も含めて、39人にのぼる。 少年院は帰住先がなければ出院することができません。刑務所は満期になれば出所できますが、出院後に住むところがなければ、再犯する確率は高くなります。被害を生み出す再犯を防ぐため、行き場のない人たちを支えようと奮闘する各地の自立準備ホームを訪ねました。その4回目です。 たとえば、少年院で面会した… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
石川県輪島市で120世帯が孤立 観測史上最多の積雪60センチ
大雪となった北陸地方では、石川県輪島市で23日午後2時までの48時間の積雪量が観測史上最多となる60センチを記録した。市内の山間では倒木で道路が寸断され、一時176世帯が孤立。県や市によると、23日午後4時現在で11地区120世帯が孤立しており、解消のめどが立っていないという。 その他の地域では、石川県珠洲で61センチ、金沢で44センチ、富山県氷見で60センチとなり、12月の観測史上1位を記録。福井県九頭竜では73センチだった。 石川県などによると、輪島市では60代女性が自宅近くの倒木で頭を打って重傷を負ったほか、金沢市と同県白山市で転倒するなどして4人が軽傷を負った。輪島市と能登町では住宅2棟が一部損壊した。(波絵理子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奈良県下北山村で土砂崩れ 複数台巻き込まれた可能性も
23日午後8時50分ごろ、奈良県下北山村前鬼の国道169号で、「土砂崩れが起きて道路がふさがり、車が通れない」と110番通報があった。奈良県警吉野署などによると、50代男性が運転する軽乗用車1台が土砂に埋まったほか、他にも複数台が巻き込まれた可能性があるという。 同署や県広域消防組合などによると、西側の斜面が約5メートルの高さから崩れ、土砂が約100メートルにわたって路面に広がっているという。軽乗用車の男性は意識はあるが、車が変形し、足が挟まれて出られなくなっているとみられ、救助活動が続いている。 通報者は「片側交互通行で、自分の前に車が4台くらい走っていた」と話している。現場では白煙も見えており、他にも車が巻き込まれた恐れがあり確認を急いでいる。 奈良県道路マネジメント課によると、現場は今年5月の豪雨でのり面が崩落し、復旧工事を控えて仮設の防護柵を設置していたという。(机美鈴) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入所者のほおを殴り、服で首を引っ張った疑い 障害者施設の職員逮捕
宮崎市の障害者支援施設で入所者のほおを殴打するなどしたとして、宮崎県警は22日、この施設に勤務する職員の男(27)を暴行容疑で逮捕した。「間違いない」と容疑を認めているという。市によると、少なくとも5人の入所者に対し、背中を蹴るといった虐待行為があったことを確認しているという。 県警によると、職員は16日午前5時半ごろ、勤務する障害者支援施設で、入所者の50代男性の首に後ろから衣類を巻き付けて引いたり、ほおを殴ったりした疑いがある。施設から22日、「入所者に暴行している事実が判明した」と通報があった。 逮捕を受け、市は23日に臨時の記者会見を開いた。 市によると、施設から19日、防犯カメラの映像で50代男性への虐待に気づいたと報告があり、22日から施設の特別監査を始めていた。 主に夜勤の際、廊下などで入所者5人に対し、顔や背中をたたく、背中や足を蹴る、鼻をつまむ、首をズボンで絞めるといった虐待をしていたことを確認したという。 職員は市の聞き取りに、「最初は口で注意したが、思うように従ってくれず、つい手が出た」と釈明したという。今年3月からこの施設で勤務していた。 市は、ほかにも虐待を受けた… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネット購入おもちゃ、無名ブランド7割で危険性有 危機感高まる欧州
寒さが厳しい11月下旬のブリュッセル。クリスマスを前に、街のおもちゃ屋はツリーやジンジャーブレッドのぬいぐるみなどであふれ、大人まで心が躍るようだった。 一方、ネット通販でも気軽におもちゃが買える。ネット上では「子どもが遊ぶおもちゃは安全なのが当たり前」という常識がゆらぎ、危機感が高まっている。危ないおもちゃの流通をとくに厳しく取り締まっている欧州を取材した。 訪れたのは、家族経営の老舗おもちゃ屋「セルネル」。店のブリジット・セルネルさんは「どのおもちゃが安全か危険かを見分けて選ぶのが私たちの仕事。そのためには経験や学びで培った目が必要」と言う。おもちゃの展示会で実際に触ったり、製造者から話を聞いたり、情報を集めたりして店に置く商品を見定めている。 例えば、赤ちゃん人形用のベビーカー。遊んでいる子どもが間違って乗ろうとしても倒れないか、手をはさまないで折りたためるか。多種多様なベビーカーの商品から、選びぬいた一品を並べている。 世界のおもちゃの安全基準のなかで、欧州連合(EU)の安全基準は規制される化学物質が多いため、特に厳しいとされる。EU域内で販売されるすべてのおもちゃは、「欧州玩具指令」のもと、安全基準を満たしている必要があり、「CEマーク」を付けて販売される。規格の国際標準化政策に詳しい元国民生活センター理事長の松本恒雄氏は「欧州では、子どもの保護や消費者保護政策が重要課題。消費者団体の活動も活発で、行政機関は消費者側の声をよく聞いて立案している」という。 EU各国は、自国の市場で基準に適合しないおもちゃを見つければ、販売停止などの措置をとり、情報を共有。必要であれば他国でも措置をとることができる。 それでも、「おもちゃの安全」は脅かされつつある。ネット通販だ。 クマのぬいぐるみがかけていためがねは、パーツが鋭くとがっていて、肌に刺さる危険がある。ぬいぐるみの縫い目がゆるくて外に出た詰め物が、子どもの口に入ってのどをつまらすおそれがある――。 欧州のおもちゃメーカーなど… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル