有料記事 構成・石飛徳樹2023年12月13日 12時00分 出演俳優の有罪を理由に映画「宮本から君へ」の助成金交付を取り消したことが適法かどうかが争われた訴訟で、最高裁が文化庁所管団体の裁量権の逸脱を認め、製作会社スターサンズの逆転勝訴を言い渡した。主演俳優の池松壮亮さんがこの「歴史的判決」をどう見たかを詳しく語った。 正直に告白すると、この裁判に勝てるとはちっとも思っていませんでした。一審の勝訴は驚いたけど、二審で敗訴し、「やっぱり。どうせ勝てっこないんだ」という感想を持ちました。法が自分たちの表現を守ってくれるものだという、ごく当たり前のことを忘れてしまっていた。自分の感覚がおかしくなっていたことを、最高裁判決が気づかせてくれました。 ピエール瀧さんの件で日本芸術文化振興会が助成金1千万円を不交付にした時、スターサンズの河村光庸さんは訴訟を起こしました。映画製作においては1千万円は必ずしも高い金額ではありません。だから僕には河村さんがなぜものすごく手間のかかる裁判をしてまで、国と闘おうとしているのかがよく分からなかった。でも、この判決を読んで、腑(ふ)に落ちました。河村さんはお金が欲しかったのではない。自分たちには表現の自由があるんだということを証明しようとしたんですね。 自由なはずの日本で、多くの表現が資本の大きな渦に巻き込まれている――。「宮本から君へ」に主演した池松壮亮さんは、撮影を通じて感じ続けていた「熱」を込めて、語ってくれました。 自由が制限されている国が世… この記事は有料記事です。残り1464文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
減りゆく公立高の男女別学校 7割が埼玉・群馬・栃木に集中のなぞ
男女別学の公立高校が、少子化や男女共同参画社会の推進などを背景に、全国各地で減りつつある。朝日新聞が9月に各地の教育委員会に取材したところ、今も残っているのは9県の44校。このうち7割超が埼玉、群馬、栃木の各県に集中していた。なぜなのか。 「公立学校における公共性を鑑みれば、性別に基づき異なった取り扱いをなすのは大問題」 埼玉県の第三者機関は8月、県立の別学校を共学化するよう県教委に勧告した。県内には、公立の男女別学高校が12校(全て県立)ある。2002年にも共学化を求める勧告が出たが、関係者らが強く反発。県教委は、県民の強い支持があるとして「当面維持」と結論を出していた。 一方、この約20年間で、全国各地では共学化の動きが進んできた。 福島県は03年度までに県立高をすべて共学化した。 1993年時点では別学校は約20校あったが、県の有識者会議が「男女共同社会が進行するなか、本県でも共学化を逐次進めていく必要がある」と答申した。 宮城県は、県立の別学校を10年度までにすべて共学化した。 2001年時点で22校あった。同年、「多感な高校時代には男女が共に学び理解し合う環境が望ましい」「県立高校で性差による入学制限を設けることは好ましくない」などとして共学化を決めた。 在校生や卒業生などから反対論が上がり、05年に別学を残す方針を掲げた村井嘉浩氏(現知事)が知事選で初当選したが、県議会が共学化を推進する姿勢を示し、方針を変えた。 残るは44校、少子化などを受け共学化の動きも 今も別学の公立高校が残っているのは埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)の各県だった。 ただ、この中にはもうすぐゼロになる県もある。 和歌山県では、唯一残ってい… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あのころセルシーがあった ニュータウンの象徴、栄枯盛衰の半世紀
「いらっしゃいませ!」。威勢の良い声が店内に響く。 11月の週末、千里中央駅(大阪府豊中市)近くの焼き鳥店「たきち」は、家族連れでほぼ満席だった。カウンターで接客する店主の小塩美博(よしひろ)さん(73)は昔を思い返していた。「セルシーのころは毎日こんな感じやったなぁ」 セルシーとは今から半世紀ほど前、1972年に千里中央駅前に完成した千里レジャーセンターの愛称だ。大阪万博から2年後、日本の高度成長期の最終盤の時期と重なる。 ローマのコロッセオを模した豪華なデザインで、千里ニュータウンの中核施設。地上6階、地下1階の延べ約4万5千平方メートルの建物は、2~4階の計162レーンのボウリング場を目玉に、関西初のスカッシュコート、屋外プール、映画館など、あらゆるレジャーがそろっていた。広場があり、地下が飲食店街だった。 ニュータウンの象徴として誕生したレジャー施設「セルシー」。名物の屋外ステージは、新人歌手の登竜門と言われました。栄枯盛衰を焼き鳥店の店主の視線から描きます。 隣の吹田市出身の小塩さんは… この記事は有料記事です。残り1939文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
本州唯一のナベヅル越冬地、今季まだ4羽 「理由はツルに聞きたい」
本州唯一のナベヅルの越冬地、山口県周南市の八代(やしろ)盆地で越冬中のツルが今季は4羽にとどまっている。飛来した7羽のうち、3羽が飛び去ったためだ。八代に来たツルが姿を消すケースはこれまでもしばしば報告され、飛来数が伸びない一因にもなっている。 行方不明の3羽が帰ってくるように、他のナベヅルが渡来するように、ねぐら整備や観察を続けていきたいです ツルの監視所に掲示されている、地元の児童たちが画用紙に書いた「つる日記」。3羽がいなくなったことを「悲しい」とも記した。 「13羽だった昨季を超えてほしい」――。10月、八代盆地への第1陣の渡来に備えてねぐらや餌場の整備に取り組んだ住民や児童らはそんな願いを口にしていた。 1陣の4羽が飛来したのは昨季より14日遅い11月9日。3日後の12日に第2陣1羽も到着した。関係者が胸をなで下ろしたのもつかの間、その翌日に第1陣4羽のうち3羽が飛び去ってしまった。 2008年に過去最低の4羽まで落ち込んだ渡来数。その後、環境の整備などで持ち直し、ここ4季は2桁台が続く。21年には28羽が飛来し、「渡来数は回復基調にある」と感じる人は少なくない。 だが、現在、越冬しているのは11月26日に第3陣として現れた2羽を含む計4羽。12羽が越年した昨季に比べても寂しい年の瀬を迎えている。 「冬の使者」はなぜ、八代を離れたのだろうか。 「渡来したツルが飛び去った… この記事は有料記事です。残り626文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
リニア工事で懸念の南アルプスの自然 希少植物の多くは移植で育たず
静岡市は市内の「南アルプスユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」に生育する希少植物について、2017~18年度に移植したり、タネをまいたりしたものが22年度にどれだけ根付いているかを調査した結果を公表した。多くの植物種で生育が確認できなくなったり、数が減ったりしており、「長期的な根付かせは難しい」としている。 南アルプスではリニア中央新幹線のトンネル建設が予定されている。その際に地下水の流量が減るなどして希少植物に影響が出た場合、代償措置として移植や播種(はしゅ、タネまき)で保全できるかを調べるため、JR東海が17~18年度に移植・播種をした。 リニア中央新幹線静岡工区を巡っては、トンネル掘削で生じる残土の置き場についても議論の対象になっています。記事の後半では、これに関する静岡市長の見解も紹介しています。 時間とともに生残確認率低下 これを受け、市は19年度から毎年、移植・播種した19種・32地点の生育状況を調査してきた。21年度までにすでに自然災害や生育が確認されなくなったものがあり、22年度はそれらを一部除いた15種・23地点について、5、7、9月に職員が目視で調べた。 移植では、カサゴケモドキや… この記事は有料記事です。残り1464文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10代の性的少数者、3割超が不登校経験 生保が調査、いじめも4割
ライフネット生命が性的少数者を対象にした調査で、10代の性的少数者の3割以上が不登校になった経験があると答えた。4割近くがいじめられた経験があると答え、学校で苦しい思いをしている児童・生徒が多いことをうかがわせる結果となった。 昨年12月~今年4月、全国の性的少数者1万449人にオンラインで調査した。対象にしたのはレズビアン(女性同性愛者)やゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時に割りあてられた性別と自認する性別が一致しない人)らだ。そのうち10代は456人だった。 小中高校で不登校になった経験があるかを聞いたところ、全体の21・1%が「ある」と回答。年代別では10代の割合が最も高く、34・9%だった。文部科学省の2022年度の全国調査では、不登校の割合は小中学生が3・2%、高校生が2・0%。調査に答えた性的少数者は、この10倍以上の割合となった。また、10代の38・8%が学校生活でいじめられた経験が「ある」と回答した。 暴力や性暴力、脅迫などの被… この記事は有料記事です。残り322文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岸田派、数千万円のパーティー収入を不記載か 東京地検が把握
自民党の派閥が開いた政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田文雄首相が率いてきた「宏池政策研究会」(岸田派)が直近5年間で数千万円のパーティー収入を派閥の政治資金収支報告書に記載していない疑いがあることが、関係者への取材でわかった。東京地検特捜部も岸田派の担当者から事情を聴くなどして経緯を把握しているとみられる。 首相は12日、記者団に「事務局で調査し、修正すべき箇所があるなら適切に対応する」と述べた。岸田派に関して「裏金という指摘は当たらない」としていた過去の説明については、「その時点で私の認識と異なる説明をしたことはない」と語った。 キックバックとは違い… 政治資金規正法違反(不記載… この記事は有料記事です。残り411文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
デンソー製ポンプ搭載 安全信じた車は突然止まり、衝撃が父を奪った
デンソー製の燃料ポンプをめぐり、3年9カ月にわたってリコールが19回繰り返される事態のなか、燃料ポンプの不具合に関連して死亡事故が起きていたことが明らかになった。事故で父親を失った兵庫県の50代の男性が朝日新聞の取材に応じ、当時の状況などを語った。 男性によると、7月30日午後3時ごろ、魚釣りからの帰り道で、80代の両親を軽自動車に乗せ、高速道路を運転していた。 鳥取市内のトンネルに入ったころ、異変が起きた。車が減速を始めたのだ。ガス欠かなと思い燃料計に目をやったが、針は真ん中あたりを指していた。 ただ、いくらアクセルを踏んでも、速度が戻らない。最後はハザードランプを出して走行車線の左脇に停車した。 「冷房でバッテリーが上がってしまったか」。そう思い何度かエンジンを切っては入れ直したが、タコメーターの針は動くものの、車は動かない。 情報提供は朝日新聞社会部へ 燃料ポンプの不具合やリコールなど情報提供は朝日新聞社会部(shakaibu@asahi.com)へお願いします。みなさんの貴重な情報をもとに取材を続けます。疑問に思っていることや感想もぜひお寄せください。 安全性を重視して選んだはずが 暗いトンネルの中、高齢の両… この記事は有料記事です。残り1206文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
デンソー製ポンプに不具合 高速でエンストし停車、追突され男性死亡
自動車部品最大手デンソー製の燃料ポンプに不具合が相次ぎ、国内累計380万台超がリコール(回収・無償修理)されている問題で、デンソー製の燃料ポンプを搭載した車が今年7月、高速道路上でエンストを起こして停車後、追突され、同乗者が死亡していたことが、ホンダなどへの取材でわかった。この車はリコール対象になっておらず、ホンダは追加のリコールを10月に国土交通省に届け出た。 デンソー製の燃料ポンプをめぐっては2020年3月以降、ホンダを含む八つの自動車メーカーから19回にわたってリコールが届け出られている。この不具合に関連して、死亡事故が明らかになったのは初めて。 情報提供は朝日新聞社会部へ 燃料ポンプの不具合やリコールなど情報提供は朝日新聞社会部(shakaibu@asahi.com)へお願いします。みなさんの貴重な情報をもとに取材を続けます。疑問に思っていることや感想もぜひお寄せください。 事故は7月30日昼、鳥取市の鳥取自動車道のトンネル内で起きた。鳥取県警によると、50代の男性がホンダの軽乗用車を運転していたところエンストし、道路脇に停車。後ろから走ってきた車に追突された。後部座席の男性の80代の父親が死亡し、男性と母親はけがをした。 「事故の直接原因ではない」と公表せず 県警は今月、追突した車の運… この記事は有料記事です。残り777文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自民党の予算でアルバム数冊」作成 五輪招致、馳知事が一転し説明
有料記事 土井良典 波絵理子2023年12月12日 20時30分 石川県の馳浩知事は12日、説明を拒んでいる東京五輪招致の「機密費贈答発言」をめぐり、発言を裏付ける可能性のある自身のブログで触れた「想(おも)い出アルバム作戦」について、「参考資料として数冊作った」と初めて認めた。予算の出どころについては、「自民党の予算」と述べた。 県議会の一般質問で、共産党の佐藤正幸氏からの質問に答えた。最初の質問で今回の発言を問われると、従来の「ゼロ回答」を述べたが、再質問で、「内容は事実」と認めていたブログの「作戦」について尋ねられると、アルバムの存在を語り始めた。 議会後の報道陣の取材に、アルバムは自身が招致活動に使うための候補として試作したと説明。卒業アルバムより少し大きめで、写真を差し込んでいくものだったという。国際オリンピック委員会(IOC)委員の選手時代のメダル獲得シーンの写真などで構成し、「いわゆるお近づきになるような仕掛けが必要と考えた」と説明。 「私のような顔も名前も売れ… この記事は有料記事です。残り645文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル